1997 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー加熱と光電子顕微鏡を組み合わせた微小領域表面相転移の研究
Project/Area Number |
09440125
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
木下 豊彦 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (60202040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 真一 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (10252800)
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Keywords | 光電子顕微鏡 / レーザー加熱 / 表面 |
Research Abstract |
今年度は、我々がこれまでに立ち上げを進めてきた光電子顕微鏡装置にレーザー加熱装置を組み込む準備を行った。設備備品としてNd-YAGレーザー(50W)を購入し、光電子顕微鏡実験を行う分子科学研究所のUVSOR施設に設置した。UVSORでは、真空紫外線からX線領域にわたるまでの広い範囲で光電子顕微鏡実験を行うため、実験ステーションとして2ヵ所のビームラインに装置を接続する必要がある。レーザー光を光電子顕微鏡装置内部に集光するためにレーザー本体を動かすことは、レーザーの性能を常に発揮できなく恐れがあるためにできるだけ避ける必要があった。従って我々は、光ファイバーを用いてレーザー光を光電子顕微鏡まで導く方式をとることとし、実際には35mの光ファイバーを用いて2つのビームラインでの実験を行えるような準備を整えた。 1.6μmの波長のレーザー光を光学レンズと石英製の超高真空仕様窓を通して光電子顕微鏡装置のサンプル位置に直径1mmφの大きさで集光できることを確認した。予備的な実験としてSi(111)表面を融点直下(約1200℃)まで加熱し、超高真空下で非常に簡単に7x7清浄表面を得られることが確認された。光電子分光測定の妨げになる電場や磁場を用いない加熱方法であるために、サンプルホルダーが簡便になるばかりでなく、電子の軌道にも影響を与えない有効な加熱方法であるので、今後の実際の研究への応用が期待できる。そのほか、タングステン結晶などの加熱にも有効であることが確かめられた。サンプルが銀や銅などの貴金属の場合には、レーザー光の反射が強いために、300℃程度までの加熱がやっとであるが、上につける物質によっては十分な温度である場合があるので、さほど問題にはならないであろう。 次年度は低温へ冷やせるマニピュレーターと組み合わせて、実際に温度を幅広い範囲で変化させながら光電子顕微鏡測定へと応用していく予定である。
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