1998 Fiscal Year Annual Research Report
梯子格子擬1次元スピン系の量子コヒーレンスと磁気秩序のNMRによる研究
Project/Area Number |
09440138
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北岡 良雄 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (70110707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 憲二 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (90243196)
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Keywords | 梯子格子 / 量子スピン系 / スピンギャップ / 不純物効果 / 磁気秩序 / 電荷秩序 / NMR / NQR / 量子臨界現象 |
Research Abstract |
1. 不純物(Zn,Ni,La)によって誘起された異常磁性 不純物によって誘起される交番磁化分極の相関長ζ_sが不純間距離とともに増大することを示した。この関係は不純物の種類に依らないこと、また不純物を添加しない系のスピン一重項液体状態の相関長より極めて長いことが明かとなった。1重項スピン液体に不純物を添加することによって顕現するスピン分極が量子コヒーレンス効果よって容易に空間的伝搬する。このために、極めてわずかなラダー間相互作用によって一重項スピン液体状態から反強磁性長距離秩序状態に変容すると考えられる。 2. ホールドーブ系スピンラダーの常圧での磁気秩序の同定 加圧によって超伝導が発現するSr_<2.5>Ca_<11.5>Cu_<24>O_<41>は、T_N=2.2Kで常圧で磁気秩序を示すことが、比熱や中性子回折の研究から示唆されたが、NMR/NQRの研究からラダー面上では、0.02μBの比較的に一様な大きさの自発磁気モーメントを持ち、鎖面上では最大0.5μBの分布した磁気モーメントをもつ磁気秩序状態にあることを示した。ラダー面当たり、ホール濃度が0.25で、このホールが電荷秩序を形成することに起因して磁気秩序が誘起されると予想され、極めて低濃度の不純物で起こる磁気秩序とは異なる機構によることを示唆した。 不純物をラダー系に添加することは、結果としてスピンの低エネルギー励起(スビノン)を誘起することになり、その励起を媒介にして磁気秩序が発生するという見方ができる。一方、ホールをドーブした系ではその低エネルギー励起、あるいは局在によって多様な電子相が現れる。遍歴する場合は、超伝導が出現し、局在する場合は電荷密度状態と磁気秩序が共存する。また電荷の集団励起が存在する場合は、磁場によって反強磁性スピン磁化が誘起される。スビンラダー系では、電荷とスピンの両者の自由度の局在と遍歴に起因する多彩な電子相があらわれる。また電子構造の次元クロスオーバーによって起こる素励起の閉じ込め効果を研究できる。この意味でスビンラダーは、強相関電子系のスピンと電荷の自由度が織り成す物理を研究できる格好の舞台となっていることが示された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.Kitaoka: "NMR Probe of Magnetic Order and Spin Correlation in Hole-Doped Laddder Cuprates" the Springer Series in Solid-State Sciences. Vol.125.
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[Publications] S.Ohsugi: "Impurity effect of the spin-Ladder system SrCu_2O_3" Physica B. (to be published).
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[Publications] T.Mito: "Study of spin-ladder system under pressure" Physica B. (to be published).
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[Publications] S.Ohsugi: "Impurity-induced staggered polarization and antiferromagnetic order in spin-1/2 Heisenberg two-leg ladder compound SrCu_2O_3:Extensive Cu-NMR and NQR studies" Phys.Rev.B. (to be published).
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[Publications] S.Ohsugi: "Magnetic Order in Hole-Doped Two-Leg Ladder Sr_<2.5>Ca_<11.5>Cu_<24>O_<41>-Evidence from Cu NMR/NQR Studies on Single Crystal-" Phys.Rev.Lett.(to be published).