2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09440166
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Research Institution | Ocean Research Institute, The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新野 宏 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (90272525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 晃三 東京大学, 海洋研究所, 助手 (20143547)
木村 龍治 東京大学, 海洋研究所, 教授 (20013576)
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Keywords | 積乱雲 / 突風 / 竜巻 / ダウンバースト / スーバーセル / 雹 / ドッブラーレーダー / メソサイクロン |
Research Abstract |
日本のように湿潤な大気中で竜巻やダウンバーストを生ずる対流雲の構造と力学を、観測データと数値シミュレーションにより明らかにした。また、竜巻が発生する環境場を把握するため、1961-2000年の40年間の竜巻のデータベースを整備し、また1988-1999年の気象庁の高層観測データにもとづいて、環境場のバルクパラメータの特性を調べた。 竜巻を生ずる対流雲に関しては、1990年9月19日夜に台風19号の外縁部にあたる関東地方で3個の竜巻が発生した事例を調べ、9個の「小型スーパーセル」と呼ばれる特殊な対流雲が発生していたことを見つけたほか、ドップラーレーダーによりその詳細な構造を解明した。更に、当夜21時の館野における高層観測データを基本場とした対流雲の数値シミュレーションを行い、観測された対流雲の構造と振る舞いを良く再現することに成功した。シミュレーションで得られた小型スーパーセルは約1時間の周期で世代交代を繰り返した。竜巻を生ずるメソサイクロンの鉛直渦度の成因を調べたところ、鉛直渦度の形成には、環境場の水平風の持つ水平渦度を対流雲の鉛直流で立ち上げる効果が重要であることがわかった。また、1996年7月5日に千葉県で2つの竜巻が発生した事例のドップラーレーダー観測から、世界で初めて小型スーパーセルの世代交代を観測した。 ダウンバーストを生ずる対流雲に関しては、1994年9月8日に埼玉県美里町で発生したダウンバーストの事例を詳細に解析した。特別観測で得られた当日15時の前橋・館野の高層観測データにもとづく数値シミュレーションを行ったところ、観測された特徴を良く再現する対流雲が得られ、ダウシバーストはまず上空での霰/雹の荷重により引き起こされ、続いて0℃近くの霰/雹の融解による冷却と、これには及ばないものの雨の蒸発による冷却によって加速されたことが示唆された
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[Publications] Suzuki,O.,H.Niino.H.Ohno and H.Nirasawa: "Tornado producing mini supercells associated with Typhoon 9019"Mon.Wea.Rev.. 128. 1868-1882 (2000)
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[Publications] Niino,H.and A.Noda: "Numerical simulation of a mini-supercell over Kanto plain on 19 September 1990"Preprint 20^<th> Conf.on Severe Local Storms,14-18 September 2000, Orland, Florida, Amer.Meteor.Soc.,. 607-610 (2000)
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[Publications] Mori,A.and H.Niino: "Self-similar solutions for the formation of the non-linear lateral convection in a stratified fluid"Proc.5th International Symp.on Stratified Flows, Vancouver.10-13 July 2000. 1085-1090 (2000)
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[Publications] Noda,A.,Niino,H.and Kimura.R.: "Tornado-like multiple vortices in a simulated supercell thunderstorm"J.Visualization. 3. 207 (2000)
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[Publications] 新野宏: "竜巻とその親雲の流体力学"ながれ. 19. 105-118 (2000)
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[Publications] 野田暁,新野宏: "竜巻を生ずる積乱雲の数値シミュレーション"ながれ. 19. 69-70 (2000)
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[Publications] 柳瀬亘,新野宏: "日本海のポーラーロウについて"天気. 48. 31-32 (2000)
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[Publications] 新野宏: "竜巻の驚異と謎に迫る"FRONT. 13・6. 31-32 (2001)
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[Publications] Redelsperger,J.L.,P.R.A.Brown,F.Guichard,C.Hoff,M.Kawasima,S.Lang,T.Montmerle,K.Nakamura,K.Saito,C.Seman.W.K.Tao and L.J.Donner: "A GCSS model intercomparison for a tropical squall line observed during TOGA-COARE. Part 1 : Cloud-Resolving Models"J.Roy.Meteor.Soc.. 126. 823-863 (2000)