1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09440203
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小柳 元彦 琉球大学, 教育学部, 教授 (00037201)
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Keywords | 摩擦発光 / 雰囲気気体発光 / 2-フルアルデヒド / ベンズアルデヒド / 窒素第2ポジティブバンド / 結晶相転移 |
Research Abstract |
芳香族アルデヒドの代表的な化合物であるベンズアルデヒドと2-フルアルデヒド固体を試料として、77K窒素冷却媒体を用いてトライボルミネッセンス現象を観測した。これらの固体はいずれも、室温から77Kへの急冷に対して半透明なガラス状固体を与える。この状態で、温度アニーリングを行うことによって結晶が得られるが、結晶の中に少なくとも相転移点が一つはあるようである。この結晶間相転移に際して、著しい体積変化が現れともすれば封入しているハイレックスガラス管を破裂させるほど強烈である。このような大きな結晶解裂を起こした時に、しばしば発光が観測される。この発光は10〜100nsオーダーの寿命を持っており、窒素やその他の雰囲気気体発光を予想させる。この度、これが将にそうであることを、発光スペクトルが観測できるようになり、詳しいスペクトル解析によってこの種の研究としては極めて精度の高い結果を得ることができた。即ち、雰囲気が空気や窒素の場合には強い発光成分は、殆ど窒素気体の第2ポジティブバンドであることが明らかになった。発光の強さによっては、窒素分子カチオンの発光も弱いながら、観測されることがあった。雰囲気を窒素や空気からアルゴンガスに変えると、発光はアルゴン原子の発光へと鮮やかな変化を示した。雰囲気のアルゴン気体の圧力変化によって、長波長側と短波長側の強度変化が生じているが、これは明らかに実験室内放電現象に対比できるものである。 芳香族アルデヒド類では、その他に幅広いバックグランド発光が観測されるが、これらはすべて上の主発光に伴う副次的な反応の結果と考えられる。これら放電に伴う結晶表面での電子的あるいはイオン的な反応は、物理的・化学的なダイナミックス解析を必要とし、これらの総合はトライボ化学の創出へ導くものと考えている。目下、いくつかの論文を準備中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Koyanagi: "Tribo-and Thermo-Luminescence of Aromatic Aldehydes" Chemistry Letters. No.4. 315-316 (1997)
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[Publications] M.Koyanagi and K.Uejoh: "Formation of the Benzyl Radical Upon UV Light lrradiation of Toluene in Benzene at 4.2K" J.Lumin.72-74. 511-512 (1997)
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[Publications] K.Uejoh,M.Shimokozono and M.Koyanagi: "Phosphorescence Spectra of Two Rotational Isomers of m-Fluorobenzaldehyde" Bull.Chem.Soc.Jpn.70・5. 1033-1038 (1997)