1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09440229
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小坂田 耕太郎 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (00152455)
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Keywords | 遷移金属 / 配位子移動 / 有機金属錯体 / アルキニル錯体 / パラジウム |
Research Abstract |
前年度の成果に基づき、ホスフィン支持配位子を有するアルキニルおよびアリールパラジウム、白金錯体のトランスメタル化反応について検討を行った。ビス(アルキニル)パラジウム錯体とジヨード白金錯体との間で選択的なアルキニル配位子の分子間移動を見いだした。生成物の熱力学的安定性によって反応の方向が制御される一方で、ヨウ化銅によって配位子移動が促進されることが明らかになった。従来、パラジウムよりも白金のアルキニル錯体が熱力学的により安定であると考えられていたが、本研究の結果から、相対的な有機金属錯体の相対的な安定性はむしろ配位子の置換基や共存配位子によって大きく影響されることがわかった。 アリール配位子の錯体分子間移動反応を種々の条件で検討し、パラジウムのモノアリールカチオン錯体が熱反応によって均化反応をおこしてジアリール錯体を生成し、さらにこれがビアリールの還元的脱離を行うことを見いだした。アリール配位子に種々の置換基を施して比較し、フッ素をはじめとする電子吸引制によってアリールー金属結合が安定化されて還元的脱離速度が遅くなることを見いだし、カップリング反応を置換基によって制御可能であることを示した。モノアリールカチオン錯体は本研究ではじめて反応の研究が行われたが、トランスメタル化以外に不飽和化合物の重合を触媒することを見いだした。 前々年度、前年度の研究成果をあわせて本研究で得られた知見をまとめ、トランスメタル化に関する有機遷移金属の化学を系統化した。有機配位子の種類、中心金属の価数と種類、支持配位子によるトランスメタル化反応の容易さの序列を決定し、これにもとづいてカップリング反応等の有機合成反応の機構を議論した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Osakada,H.Takimoto,T.Yamamoto: "Reaction of 2-Aryl-1-methylenecyclopropane with Rh(I) Complex Leading to Ring-opening Isomerization π-coordination of the C=C Double Bond"J. Chem. Soc., Dalton Trans.. 853-860 (1999)
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[Publications] Y.J.Kim,K.Osakada,M.Tanabe,T.Yamamoto: "Trans and Cis Isomers of Pt(SiHAr_2)_2(PR_3)_2 (R=Me, Et) Type Complexes in the Solid State in Solutions"Organometallics. 18. 1349-1352 (1999)
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[Publications] 小坂田耕太郎、山本隆一: "有機遷移金属錯体のトランスメタル化反応、均一系触媒反応との関連"有機合成化学協会誌. 57. 305-312 (2000)
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[Publications] K.Osakada,T.Hosoda,T.Yamamoto: "Mechanistic Features of Intermolecular Thiolato Ligands Transfer from Thiolatotitanocene to Pt(Cl)Me(cod) To Give Methyl (arylthiolato) platinum(II) Complexes"Bull. Chem. Soc. Jpn.. 73. in press (2000)
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[Publications] K.Osakada,M.Hamada,T.Yamamoto: "Intermolecular Alkynyl Ligand Transfer of Pd(II) and Pt(II) Complexes with -C≡CCOOR and -C≡CPh Ligands. Relative Stability of the Alkynyl Complexes Conproportionation of Dialkynyl Diiodo Complexes of These Metals"Organometallics. 19. 458-468 (2000)
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[Publications] K.Oskada,T.Yamamoto: "Transmetallation of alkynyl and aryl complexes of group 10 transition metals (in press)"Coordination Chemistry Reviews. (2000)