1997 Fiscal Year Annual Research Report
5炭素結合型フラーレン配位子を含む機能性有機金属錯体の合成
Project/Area Number |
09440238
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澤村 正也 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (40202105)
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Keywords | フラーレン / C_<60> / シクロペンタジエン / 有機金属錯体 / 有機銅試薬 / 機能性物質 / メタロセン / フェロセン |
Research Abstract |
C_<60>と有機銅試薬の反応により合成されるC_<60>5重付加体C_<60>R_5Hは,球状π電子供役系とともにシクロペンタジエン構造を有しており,他のシクロペタジエン誘導体と同様,5炭素結合型有機金属錯体MLn(n^5-C_<60>R_5)へと変換できる.このようにして得られる有機金属錯体は,高い電子受容能,光励起能などのフラーレン特有の性質を保持しているはずであり,様々な分野での応用が可能であると期待される.本研究では、このような5炭素結合型フラーレン有機金属錯体を用いることにより,新しい機能性材料の開発のための基盤となる新物質を創製することを目指す. 本年度は,まずC_<60>5重付加体の合成法に改良を施した.すなわち,反応溶媒としてオリトジクロロベンゼンを用いることにより,気質の濃度を著しく増大させた結果,約10gのC_<60>Ph_5Hがわずか1日で合成できるようになった.また,同様の方法で芳香環上に異なる置換基を有する様々な誘導体も合成した. シクロペタジエニル基の周りに5つの芳香環を有する誘導体C_<60>Ar_5Hのアニオンを配位子として用いる場合は,芳香環のかさ高さのために,合成可能な金属錯体にかなりの制限があった.この問題を解決するために芳香環の代わりに,より立体的に小さなアルキル基を導入することも検討し、メチル基を有する誘導体C_<60>Me_5Hの合成に成功した.C_<60>Me_5HはKO^tBuによる脱プロトン化および【RhCl(CO)_2】_2とのトランスメタル化を経由してRh(n^5-C_<60>Me_5)(CO)_2に変換することができた.
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