1998 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素を超臨界流体とするキレート配位子による金属イオンの抽出分離とその機構
Project/Area Number |
09440250
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
大橋 弘三郎 茨城大学, 理学部, 教授 (60007763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
折山 剛 茨城大学, 理学部, 助教授 (90185687)
井村 久則 茨城大学, 理学部, 教授 (60142923)
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Keywords | 超臨界 / 二酸化炭素 / 長鎖2-メチル-8-キノリノール / 分配係数 / 溶解度 / 抽出装置 / pH決定 |
Research Abstract |
本研究では、加圧下で紫外可視吸収スペクトルを測定できるセルと超臨界(SF)抽出セルを連結した装置を組み立てた。この措置を用いSF-CO_2と平衡状態にある水溶液のpHを、チモールブルーとブロモフェノールブルーの水溶液のpH変化による吸収スペクトルの変化より間接的に測定した。pH>3.0では水溶液のpHが、SF-CO_2の水溶液への溶解によって3.0付近まで水平化される。pH<3.0では、SF-CO_2の影響が小さく、SF-CO_2と接触前後でのpH変化が最大で0.1以内であることが明らかになった。更に、2-メチル-8-キノリノール(HMQ)、2-メチル-5-ブチルオキシメチル-8-キノリノール(HMO_4Q)及び2-メチル-5-ヘキシルオキシメチル-8-キノリノール(HMO_6Q)のSF-CO_2と水間の分配係数K_DとSF-CO_2への溶解度を求めた。SF-CO_2と水間のK_Dは、分配比DとpHの関係式(logD=logK_D-log([H^+]K_<a1>^<-1>+1)より求めることが理論的に可能である。ところが、pHが3以上での水溶液では、SF-CO_2と接するとpHはほぼ3に水平化されるために、実験的に酸解離定数K_<a1>の決定は困難であった。従って、上記の式を用いてヘプタン-水間の分配平衡を解析し、K_<a1>を決定した。ヘプタンへのHMO_nQの溶解度、ヘプタン-水間及びSF-CO_2-水間のK_Dを用い、HMO_nQのSF-CO_2への溶解度をも求めた。HMQ及びHMO_4Qは超臨界相(45℃,8.6MPa)への分配が見られなかった。これはSF-CO_2の溶解能力が極めて低いことを示している。HMO_6QのSF-CO_2と水間のlogK_Dとして1.18(45℃,8.6MPa)が得られた。この値はへプタン-水間の値よりも約10^3分の1であった。またへプタン中でのHMO_6Qの溶解度(0.234M)とそれぞれのK_Dから、SF-CO_2への溶解度として2.95×10^<-4>Mが得られた。 今後はK_Dに対する流体の圧力、温度、モディファイヤーの影響について検討し、SF-CO_2へのHMO_nQによる金属イオンの抽出平衡に関しての新たな知見が期待できる。
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