1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09440256
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
宝来 聰 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 助教授 (40126157)
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Keywords | ミトコンドリアDNA / DNA多型 / 塩基配列 / 塩基多様度 / 日本人 / 縄文人 / 系統樹 |
Research Abstract |
本研究では、現在論争となっている縄文人の「東南アジア起源」あるいは「北東アジア起源」の仮設を検証すため、東南アジアおよび北東アジアの集団にに着目した、タイの3集団(コンケン、チェンマイ、少数民族サカイ)、マレーシアおよびインドネシア集団を含む東南アジアの5人類集団について、ミトコンドリアDNAのDループ領域の塩基配列を分析した。159人の東南アジア人について563bpの塩基配列を比較したところ、119の異なる配列のタイプが見られた。これらのうち98タイプは、それぞれの集団に特有のものであり、残りの21タイプは集団間に共通して見られた。系統樹分析によって、東南アジア人は少なくとも6個の単系統クラスターに分類されるが、5集団からの系統は各クラスター中に完全に混じりあっていた。昨年報告した東アジアの5集団以外に、新たに分析したハルピンの中国人(60人)、アフリカ人、ヨーロッパ人、アメリカ先住民のデータを併せて解析した。塩基多様度のネット値(DA)に基づき集団の系統樹を作成したところ、東アジアと東南アジアの各集団は単系統クラスターを形成するが、さらに南と北のグループに分割される傾向が読み取れた。平均距離法による系統樹では、南グループには台湾中国人、インドネシア人とタイ人が含まれ、北グループには、本土日本人、韓国人、ハルピンの中国人、琉球人とアイヌが含まれた。しかし近隣結合法による系統樹では、アイヌは南グループと北グループの中間に現れるという微妙な系統的位置を示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Muraki K.et al.: "Severe lactic acidosis and neonatal death in Pearson syndrome." J.Inher.Metab.Dis.20. 43-48 (1997)
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[Publications] Ozawa M.et al.: "Mutations in mitochondrial tRNA^<Lys> are responsible for myoclonus epilepsy associated with ragged-red fibers(MERRF) and cytochrome c oxidase defiency:an additional nevel G-to-A mutation at nucleotide pair 8363 in tRNA^<Lys> in two families." Muscle & Nerve. 20. 271-278 (1997)
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[Publications] Blagitko N.et.al.: "Polymorphism of the HLA-DRB1 locus in Colombia,Ecuadorian,and Chilean Amerinds." Human Immunology. 54(1). 74-81 (1997)
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[Publications] Hammer M.F.et.al.: "The geographic distribution of human Y chromosome variation." Genetics. 145. 787-805 (1997)
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[Publications] 宝来 聰: "ミトコンドリア病(埜中征哉・後藤雄一編)ミトコンドリアの遺伝学" 医学書院, 52-73 (1997)
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[Publications] 宝来 聰: "岩波科学ライブラリー(52) DNA人類進化学" 岩波書店, 120 (1997)