1997 Fiscal Year Annual Research Report
長大立坑を用いた雲の汚染・変質過程の実規模実験研究
Project/Area Number |
09450195
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
太田 幸雄 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00100058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 政弘 国立環境研究所, 大気圏環境部, 主任研究員 (20160294)
福山 力 国立環境研究所, 大気圏環境部, 室長 (90011642)
山形 定 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80220242)
村尾 直人 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00190869)
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Keywords | 長大立坑 / 雲の汚染・酸性化 / 実規模実験 / 炭酸カルシウム粒子 / 海塩粒子 / 水溶液滴噴霧 / 雲粒粒径分布 / 光酸化 |
Research Abstract |
岩手県の釜石鉱山日峰鉱の中央立坑(観測深度430m:高度250〜680mレベル間を使用)を用いて、雲の汚染・酸性化過程に関する実規模実験を行った。立坑上部にファンを設置し、立坑内の上昇気流の流速を変化させて実験を行った。補集面が自動的に回転しながら移動するインパクターを試作し、立坑上部において雲粒を捕集し、分析電子顕微鏡を用いて観察を行ったところ、主としてナトリウムと塩素から成る雲粒と、カルシウムが主体の雲粒が見いだされた。また雲水についても採取し、イオンクロマトグラフにより分析したところ、多量のカルシウムイオンと、比較的少量のナトリウム、塩素イオンが測定された。この結果から、本立坑においては、多数の炭酸カルシウム粒子および少数の海塩粒子を核として雲粒が生成・成長していることが分かった。次に、立坑下部において噴霧器により塩化ナトリウム水溶液を大量に噴霧し、立坑内に導入して、生じた雲粒の数および粒径分布の変化について検討した。噴霧前の雲粒は粒径7〜8ミクロンの単分散分布を示したが、噴霧後は、7〜8ミクロンをピークとして15ミクロンにまで広がった粒径分布となった。なお雲粒数は、塩化ナトリウム水溶液滴を噴霧した場合に大きく増加した。また、雲水中の硫黄成分はほとんど亜硫酸イ才ンであり、この結果から光の無い立坑内では亜硫酸から硫酸への酸化は進まず、今後、水銀ランプなどの光源の設置により、雲水中での光酸化に関する実規模実験が行える可能性があることが分かった。
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