1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09450277
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
永田 和宏 東京工業大学, 工学部, 教授 (70114882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 博之 東京工業大学, 工学部, 助教授 (40252259)
須佐 匡裕 東京工業大学, 工学部, 助教授 (90187691)
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Keywords | たたら / 砂鉄 / 炉内反応 / 製錬 / ケラ / ノロ |
Research Abstract |
8回の小型たたら炉(炉高約1.2m,炉底面積約0.1m^2)での操業実験を行った。砂鉄(ニュージーランド産浜砂鉄)30kgと木炭約50kgを用い,空気送風量約300l/minを標準条件として,砂鉄に珪砂を混入させ,シリカ濃度を2から5%の範囲で変えてスラグの粘性と生成するケラ(鋼塊)の性状を調査した。同時に還元帯でのサンプリングを行い,炉底,羽口前,還元帯上部での温度測定と酸素分圧測定を行った。実験では以下のことが分かった。羽口前で温度は1350〜1400°C,酸素分圧10^<-12>気圧程度であり,砂鉄の還元は羽口上20cmの間で進行する。羽口前では燃焼する木炭の上で吸炭し,液相率が20%程度になると丸く粒鉄になり,炉下部に転げ落ちる。粒鉄は炉底の液体スラグ(ノロ)中に入り,互いに表面張力で合体しながら成長しケラになる。結局,たたら製鉄ではオーステナイトと液相の2相共存領域で鋼が造られており,現代製鉄法と明らかに異なる原理であることが分かった。シリカ濃度が増すにつれスラグ生成量がまし,その分銅の収率が落ちる。シリカ濃度が低くなるとチタン酸化物濃度が高い(約8%)ため,スラグの融点が上昇して溶融スラグの生成が困難になり,収率が低下した。結局3%程度が最も良い条件であった。 文献調査により,ヨーロッパにおける古代・中世(14世紀以前)のレン炉やシャフト炉は内径が30cm程度で高さが1.2m程度であり,この形状と大きさは中世に至るまでほとんど変化していない。鍛冶炉で処理できる大きさのルッペの炭素濃度は低く,スラグの噛み込みが多い。我が国に6世紀後半に中国から伝来した箱形のたたら炉では,遺跡の調査結果から初期の頃から箱形の炉で溶銑(ズク)を製造していたことが推察される。
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Research Products
(2 results)