1998 Fiscal Year Annual Research Report
高分子薄膜のレーザー加熱ポーリングプロセスにおける伝熱過程の解明とその制御
Project/Area Number |
09450283
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宝沢 光紀 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (70005338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚田 隆夫 東北大学, 反応化学研究所, 助教授 (10171969)
及川 英俊 東北大学, 反応化学研究所, 助教授 (60134061)
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Keywords | 非線形光学材料 / 高分子薄膜 / レーザー加熱ポーリング / 伝熱 / 熱拡散率 / 多極子配向 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
本研究は、レーザー加熱ポーリングによる非線形光学高分子薄膜への導波路作製プロセスを対象とし、その具現化、最適化のための基礎データの蓄積を目的とする。本年度は、以下の項目について検討を行った。 1) 高分子薄膜の熱拡散率の温度依存性の測定 昨年度作製した光音響法に基づく熱拡散率測定装置を改良し、側鎖に非線形有機色素Disperse Red lを30wt%導入したpoly-(methylmethacrylate)(PMMA)高分子薄膜の熱拡散率の温度依存性を測定した。温度上昇に伴い熱拡散率が減少することがわかった。しかし、熱拡散率が急変すると予想されるガラス転移温度以上の測定ができず、高温域においては別な測定法の開発が必要であることが示唆された。 2) プロセスの数値シミュレーション レーザー走査により高分子薄膜を局所加熱した際の薄膜内温度分布を予測するために、昨年度開発した3次元伝熱解析コードに、温度と双極子の配向状態の関係式を導入し、配向度及び薄膜内配向分布(矩形波状が望ましい)に及ぼす各種操作条件の影響を検討した。ただし、電場による双極子配向の適切なモデルがないため、分子緩和の温度依存性に関するモデルで代用した。結果として、レーザースポット径が小さいほど、レーザー走査速度が遅いほど配向度は矩形波状になることがわかった。また、薄膜の吸収スペクトルを検討した結果、Ar^+レーザー(488nm)よりも、He-Neレーザー(632nm)を使用した方が、薄膜の加熱が表面から内部加熱となり、高配向度及びより矩形波状になることがわかった。なお、本研究を通して、プロセスの厳密なモデル化に当っては、電場印加に伴う高分子材料の双極子配向速度の測定が必須であることが示唆された。
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