1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09450307
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
酒井 清孝 早稲田大学, 理工学部, 教授 (00063727)
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Keywords | 人工腎臓 / 透析 / 尿素 / イオン / 電気透析 / 抽出 / 界面活性剤 / キレート |
Research Abstract |
本研究では、携帯型人工腎臓の開発を目指して、使用後の透析液に含まれているイオン(特に塩化ナトリウム)と尿素の分離に着目し、イオンを回収することを目的どした。そこで、陽イオン選択性、陰イオン選択性を有する液体膜を用い、電位差を推進力とした透析システムで、尿素とイオンの分離およびイオンの濃縮を試みた。 昨年度の研究では、尿素とイオンの透過速度および選択性について基礎的に検討した。陰イオン性液膜相には陽イオン、陽イオン性液膜相には陰イオンが取り込まれやすいため、電気透析槽でのイオン交換膜と同様の効果が得られると考えた。そこで本年度は、逆ミセル含浸型液膜を用いて、電気透析を模倣した三連式セルを作製した。 外側の二層間に推進力として+1.5Vの電位をかけ、一定時間経過後のイオン濃度と尿素濃度の初期濃度に対する比を求めた。イオン濃度は、外側の層に比べて中央の層で増加した。電位をかけない場合と同様に、尿素は拡散によって移動した。これは、長時間実験により含浸膜が劣化し、液体膜中に水の透過経路ができたためである。また、長時間電位をかけると、塩化ナトリウム水溶液が電気分解する可能性がある。そこで、短時間実験を行った結果、尿素の移動量は長時間実験に比べ少なく、イオン濃度は中央の層で増加したことから、短時間で同様の操作を繰り返す、あるいは同様の装置をいくつか接続して連続的に操作することによって、イオンと尿素を分離することが可能になる。 以上のことより、逆ミセル液体膜を用い、電気透析を模倣したシステムによって、塩化ナトリウムと尿素の混合溶液から塩化ナトリウムを分離、濃縮できる可能性が示唆された。このような電解質と非電解質の分離システムは、尿細管機能を再現したり、使用後の透析液から有用な溶質を回収して、それを血液に戻すことに有用である。
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