1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09460011
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
藤原 宏志 宮崎大学, 農学部, 教授 (40040860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大平 明夫 宮崎大学, 教育学部, 講師 (00262824)
柳沢 一男 宮崎大学, 教育学部, 教授 (50239802)
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Keywords | 稲作起源 / プラント・オパール / 縄文時代 / 居徳遺跡 / 木製農具 |
Research Abstract |
高知:居徳遺跡は初期の突帯文土器をともなう縄文時代晩期中葉の遺跡である。この時期の遺物包含層から木製の両手鍬とみられる木製品が出土し、日本列島では最古の木製農具ではないかと注目されている。両手鍬は水田稲作における代掻き作業具と考えられ、ここでイネ遺物が確認されれば、水田稲作の開始期が初期突帯文土器の時代まで遡る蓋然性が高くなる。縄文時代晩期中葉は水田稲作が渡来したと考えられている時期であり、水田稲作に先行する畑稲作と水田稲作が併存する時代への移行期にあたる。 居徳遺跡における初期突帯文土器包含層土壌および同土器胎土のプラント・オパール分析を行い、同時代におけるイネの存否を検証した。土壌試料約100点、土器試料10点の分析を行った結果、初期突帯文土器包含層土壌から多量のイネープラント・オパールが検出され、同時代におけるイネの存在が確認された。この事実から、上述の木製具は両手鍬であると判断してほぼ間違いないことが判るとともに、現在のところ、同遺跡が水田稲作のもっとも古い事例になることが明らかになった。 水田稲作の渡来ルートに関するデータを考慮する時、高知地方が最初の渡来地とするには無理があり、九州西北部では、さらに古い水田稲作事例が存在する可能性が高まった。
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