1999 Fiscal Year Annual Research Report
洪水氾濫および土砂流送に伴う渓流生態系の撹乱と回復過程に関する研究
Project/Area Number |
09460071
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
丸谷 知己 九州大学, 農学部, 助教授 (40112320)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井倉 洋二 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (60203270)
岡野 哲郎 九州大学, 農学部, 助教授 (00194374)
小川 滋 九州大学, 農学部, 教授 (30037973)
笠井 美青 九州大学, 農学部, 助手 (80294966)
寺岡 行雄 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (40264105)
|
Keywords | 洪水氾濫 / 撹乱規模 / 撹乱頻度 / 河岸浸食 / 河畔樹木 / 河床堆積土砂 / ステップ-プール / Relaxation time |
Research Abstract |
渓流生態系を撹乱する要因の解析が、3年間にわたる実地計測に基づいておこなわれた。 計測項目として、降雨量、河川流量、河床堆積土砂量、生産土砂量、河岸浸食量、浮遊砂量、淡水魚個体数、河畔植生現存量がある。研究対象地は、宮崎県一ツ瀬川上流大藪川で、比較のため宮崎県市房山、ニュージーランド北島東海岸のWaipaoaでのデータも用いた。 結果:降雨量と河川流量とは、複数の洪水氾濫を含むそれぞれの年間合計値では極めて高い相関関係を示した。支流流域からの土砂生産は、5年確率の日降雨量500mm以上で発生し、河床堆積土砂量はイベント間の年間河川流量に比例して減少することがわかった。ステップ-プールの規模はイベント直後に最も大きく堆積土砂の流出に伴って減少するが、プール数は逆にイベント直後に最も少なく、その後徐々に増加する。淡水魚個体数は、プール体積に比例するため、イベント発生後は毎年増加し、約5年で安定する。河畔植生の回復は、モミ、ツガなどの針葉樹では種子散布の豊凶年がイベント直後であれば、ある程度可能であるが、イベントに一致すると撹乱は回復しない。また、河岸のササは稚樹を保護する役割もするが、イベント後に段丘状堆積物表面にササが侵入すると、種子生育が阻害される。河岸は10cm/yearの速度で浸食され、河畔樹木の傾動を引き起こすが、傾斜木は数年で元の形に復元する。以上より、河川生態系の撹乱後の回復はイベントの生起確率とイベント後の経過年数に支配され、これらの関係は、Recurrence IntervalとRelaxation timeのモデルによって表現できることがわかった。Relaxation timeを有効に使って、生態系回復をはかるためにはステップ-プールの確保と、河畔樹木の種子散布の促進およびその後のササの導入が適切であることが明らかになった。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 丸谷知己: "崩壊地を含む小面積流域における流出土砂量"砂防学会誌. 52(6). 87-94 (2000)
-
[Publications] Hoon Kim: "Temporal changes in ammall partice sediment yielded from the catchment dollowing to forest growth clear cutting"J,Fac,Agr,Kyushu Univ,. 44(3,4). 473-481 (2000)
-
[Publications] 中村純也: "一ッ瀬川源流大藪川における1997年洪水直後の堆積砂礫経の特徴"九大農学芸誌. 53(1,4). 65-70 (1999)
-
[Publications] Mio Kasai: "Estimation of temporally averaged sediment delivery ratio using agradational terraces in headwater catchments of Waipaoa River"Earth Surf,Processes and Landforma. (in press). (2000)
-
[Publications] Tomomi Marutani: "Sediment generation from numerous shallow landslides relatedslides with clear cutting at Granite Mountain,Mt,Ichifusa,Japan"(in press). (2000)