1997 Fiscal Year Annual Research Report
テトロドトキンシ保有動物におけるテトロドトキシンの起源と毒化機構
Project/Area Number |
09460090
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
山森 邦夫 北里大学, 水産学部, 教授 (80012029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松居 隆 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (90011981)
河原 栄二郎 北里大学, 水産学部, 講師 (80186121)
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Keywords | テトロドトキシン / サキシトキシン / フグ / 淡水フグ / TTX抵抗性 / STX抵抗性 / 蓄積 |
Research Abstract |
フグ毒、テトロドトキシン(TTX)は神経毒である。TTXと同様に強力で同じ作用機構を持つ神経毒にまひ性貝毒があり、サキシトキシン(STX)はその一種である。フグにおける毒の起源は養殖フグが無毒であることなどから外因性と考えられているが、フグが毒化するためには、フグ自体が毒に対して抵抗性を備えている必要があると推察される。事実、日本産有毒フグ類のTTXに対する抵抗性(最小致死量)は数百〜千MU/20g体重と高いが、STXに対する抵抗性は10〜20MU/20g体重と低く、またサバフグなどの無毒種のTTXに対する抵抗性は10〜20MU/20g体重と低い。これは日本産有毒フグの主要毒がTTXであり、STXを蓄積しないことを示唆する。一方、東南アジア産淡水フグ類にはSTXを主要毒とする種があるという。そこで、鑑賞魚店を通じて世界中から主として淡水フグ類を集め、保有毒の種類ならびにTTXおよびSTXに対する抵抗性を調べた。 東南アジア産のミドリフグ、スリランカハチノジフグ、ハチノジフグ、ゴールデン・パッファー、レッドライン・パッファーなどはTTXを主要保有毒とし、6000MU/20g体重の著しく高いTTX抵抗性と320〜480MU/20g体重の高いSTX抵抗性を示した。また、東南アジア産のメコンフグ、インドシナレオパ-ド・パッファー、インドアカメフグ、テトラオドン・スバティ、アフリカ産のテトラオドン・ストリアトス、テトラオドン・ムブ、南米産の南米淡水フグなどはSTXを主要毒とし、320Mu/20g体重を越える高いSTX抵抗性と100MU/20g体重以下のかなり低いTTX抵抗性を示し、日本産有毒フグ類の結果と対称的であった。このことはこれらのフグにはSTXを主要毒とし、TTXを主要毒としえない生理機構の存在を示唆するとともに、このような種類が多く発見されたことから、世界的にみれば、STXを主要毒とするフグの方が多数派である可能性が示唆された。
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