1997 Fiscal Year Annual Research Report
価格政策再編下の農産物需給調整の方策に関する主要品目別研究
Project/Area Number |
09460097
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三島 徳三 北海道大学, 農学部, 教授 (40002365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長澤 真史 東京農業大学, 生物産業学部, 助教授 (20217988)
玉 真之介 弘前大学, 農学部, 助教授 (20183072)
坂爪 浩史 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (80258665)
佐々木 悟 旭川大学, 経済学部, 助教授 (60254661)
飯澤 理一郎 北海道大学, 農学部, 助教授 (60184339)
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Keywords | 農産物価格政策 / 農産物需給調整 / WTO協定 / 国境調整措置 / 輸入農産物 / 国内農産物 |
Research Abstract |
農産物価格政策と需給調整の実態に関わる品目別の資料収集と、関係者からのヒアリングを行い、以下のような知見を得た。 1米については、新食糧法の下で過剰が深化し、自主流通米価格の低下と政府米の売れ行き減少が進行している。これに対し、政府は1997年11月に「新たな米政策」を決定し、対応に努めているが、財政的制約の下で需給調整の有効的対策に苦慮している。系統農協による計画生産・出荷が重要になってきているが、そのためにも生産調整実施者と計画米出荷者に対するメリット付与が課題である。 2小麦、大麦、大豆、馬鈴薯、甜菜などの畑作物については、もともと輸入への依存度が高く、これまで国境調整措置によって需給調整が図られてきた。しかし、WTO協定による関税化とカレント・アクセスによって、国内生産がいっそう縮小する恐れが出てきた。国内の食品産業においては品質の良い国内産原料への期待がつよいが、低価格での安定供給が課題である。 3豚肉、牛肉、ブロイラー、生乳、鶏卵など畜産物については、輸入増大の中で国内産のシェアが低下し、他方で生産者の階層分解が激しく進展している。畜産物における需給調整と価格安定対策と一体の形で存在していた国境調整措置が、WTO協定により改変されたが、その影響についてはまだ明白には現れていない。豚肉の口蹄疫や牛肉のO157問題が、国内産食肉の需要拡大と価格浮揚に作用したが、これは一時的なものである。 4野菜、ミカンにおいては、輸入される野菜や柑橘類との市場競合問題もあるが、それ以上に高齢化等による国内生産者と作付け面積の減少が問題である。国内生産のシェア確保を図るためにも、再生産保障による価格安定制度の確立が急務である。
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