1999 Fiscal Year Annual Research Report
Na^+,K^+-ATPase分子に関連したパリトキシン感受性チャネルの生物学的意義
Project/Area Number |
09460140
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
伊藤 勝昭 宮崎大学, 農学部, 教授 (70136795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 利明 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (50264809)
竹安 邦夫 京都大学, 総合人間学部, 教授 (40135695)
池田 正浩 宮崎大学, 農学部, 助教授 (60281218)
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Keywords | パリトキシン / Na,K-ATPアーゼ / イオンチャネル / キメラ遺伝子 / 酵母 / ウアバイン / ナトリウムポンプ / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
1.血管平滑筋細胞および巨核球細胞におけるパリトキシンチャネルの電気生理学的性質をパッチクランプ法で調べた。両細胞においてパリトキシンシャネルは一価陽イオンを透過させた。Na,K-ATPaseを阻害するウアバインはチャネル電流を抑制したことから、このチャネルはNa,K-ATPaseと関連することが示された。パリトキシン存在下でもNaポンプ活性化による電流が確認されたので、チャネルが開口しているときでもNaポンプは機能することが示唆された。 2.血管平滑筋、内皮細胞でパリトキシンは細胞質Ca^<2+>([Ca^<2+>]_i)を上昇させた。パリトキシンチャネルはCa^<2+>など二価陽イオンを透過させないのでこの[Ca^<2+>]_i上昇はNa^+透過性が増加した結果、二次的にNa-Ca交換が変化して起こると推定された。このようにパリトキシンチャネルは一義的にはNa^+、K^+の受動輸送を促進するが、二次的に[Ca^<2+>]_iを上昇させて細胞機能を変化させる意義を有することが示された。 3.Na,K-ATPase遺伝子、およびNa,K-ATPaseとCa-ATPaseのキメラ遺伝子を酵母に発現させてパリトキシンによる細胞K^+流出を観察したところ、野生型Na,K-ATPaseを発現した細胞のみならず、触媒部位をCa-ATPaseに置換したキメラを発現した細胞でもパリトキシンの作用が認められた。一方、遺伝子を導入しなし酵母ではパリトキシンの作用は認められなかった。このことよりパリトキシンチャネルは酵素の触媒部位には含まれないことが明らかとなった。しかしパリトキシン作用はATP依存性であること、ウアバインで抑制されることから酵素のATP加水分解によるコンフォメーション変化がチャネル活性化に必要であることが示唆された。ウアバイン抵抗性遺伝子を導入した細胞ではパリトキシンの作用が弱かったことからウアバイン結合部位がチャネルに関係する可能性が示唆された。 以上の結果から、パリトキシンチャネルは本来Na,K-ATPase酵素内にあってイオンを輸送する構造部分であると考えられる、酵素のコンフォメーション変化のある段階でチャネル機能がイオン結合-閉塞-放出、というサイクルから独立してイオンを濃度勾配に従って輸送するようになると推定される。
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[Publications] Ishii,K.,Ikeda,M.,Ito,K.: "Characteristics of palytoxin-induced cation currents and Ca^<2+>mobilization in smooth muscle cells of rabbit portal vein."Naunyn-Schmiedeberg's Arch.Pharmacol.. 355(1). 103-110 (1997)
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[Publications] Ishii,K.,Ito,K.M.,Ikeda,M.,Uemura,D.,Ito,K.: "Endothelium inhibits the palytoxin-induced depolarization and Ca^<2+>mobilization in porcine coronary arteries through endothelium-derived hyperpolarizing factor and nitric oxide released by palytoxin."Life Sciences. 60(7). PL91-PL97 (1997)
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[Publications] Ishii,K.,Ito,K.M.,Uemura,D.,Ito,K.: "Possible mechanism of palytoxin-induced Ca^<2+>mobilization in porcine coronary artery."J.Pharmacol.Exp.Ther.. 281(3). 1077-1084 (1997)
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[Publications] Ichida,K.,Ikeda,M.,Goto,K.,Ito,K.: "Characterization of a palytoxin-induced non-selective cation channel in mouse megakaryocytes."Jpn.J.Pharmacol.. 81. 200-208 (1999)