1997 Fiscal Year Annual Research Report
不全心のメカノエナジェティックスのマクロ・ミクロ連関
Project/Area Number |
09470009
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
菅 弘之 岡山大学, 医学部, 教授 (90014117)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
實金 健 岡山大学, 医学部, 助手 (10294406)
荒木 淳一 岡山大学, 医学部, 助手 (80271055)
|
Keywords | メカノエナジェティクス / カルシウム動態 / 興奮収縮連関 / 期外収縮後収縮性増強 / 不全心 / 統合生理学 |
Research Abstract |
我々はこれまでにイヌ摘出交叉灌流心標本を用い左心室の力学的およびエネルギー学的検討を行い、多くの心臓生理学的知見を得てきた。今回はこのエネルギー学的方法論を一段と発展させ、丸ごと心臓における心筋細胞内カルシウム動態を推定するという方法を考案し、従来のイヌ摘出交叉灌流心標本を用いた実験によりこの斬新な方法論の妥当性・合理性を証明し得ることを確認した。さらにはこのカルシウム動態の推定法を不全心モデルに応用することにより、種々の病的心における収縮異常および細胞内カルシウム動態の異常を特徴づけ定量的に評価することが可能となると期待される。 具体的には、まず従来の方法により無負荷左心室の酸素消費量およびKClによる心停止状態での酸素消費量から1心拍あたりの興奮収縮連関に関わるカルシウム量を求める。ついで独自の方法論により、期外収縮後の収縮性増強の減衰時定数から細胞内筋小胞体へのカルシウム再循環率を算出する。これらにより総カルシウム移動量を推測するという統合生理学的手法である。すでにエピネフリンおよびカルシウム投与による収縮性亢進時のカルシウム再循環率や総カルシウム移動量等の検討により、我々の提唱する方法論の妥当性を証明することができた。現在は虚血、スタニング、アシドーシス、低酸素、温度変化、高頻度ペーシング、薬物(リアノジン、BDM)投与等により不全心モデルを作成し正常心と比較することにより、病的心におけるカルシウム動態異常の定量的検討を行っている。 また同時に、神経性・体液性反射を除外し生理的な血液の充満・駆出も生じない交叉灌流心標本だけでなく、生体内駆出心における検討の必要性から、容積測定のためのコンダクタンスカテーテルを用いた生体内心臓における研究も開始した。計測機器の準備、実験手技の向上を含めた実験系の確立の段階を経て、現在は出血性ショックモデルにおけるデータ収集を行っている。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Syuu Y, Araki J, Lee S, Suzuki S, Mizuno J, Mohri S, Mikane T, Shimizu J, Takaki M, Suga H: "Effect of Ca^<2+> and epinephrine on Ca^<2+> recirculation fraction and total Ca^<2+> handing in canine left ventricles." Japanese Journal of Physiology. (in press).