1998 Fiscal Year Annual Research Report
新しい内臓幼虫移行症としてのブタ回虫人体感染の実態解明とその対策
Project/Area Number |
09470070
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
名和 行文 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (10040172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀井 洋一郎 宮崎大学, 農学部, 教授 (80173623)
野田 伸一 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (60112439)
中村 ふくみ 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (90295204)
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Keywords | ブタ回虫 / 内臓幼虫移行症 / 疫学調査 / 免疫血清診断 |
Research Abstract |
我々は近年南九州を中心として多発している著明な好酸球増多を伴った肺炎や肝病変の症例の多くがブタ回虫幼虫による内臓幼虫移行症(VLM)であることを明らかにした。患者の発生が養豚地帯に集中していることから、平成9年より度文部省科研費基盤研究(B)および平成9年度厚生科学研究費補助金(新興・再興感染症研究事業)奨励研究、大山財団研究助成金などを受けて、この地域における住民のブタ回虫感染状況の疫学調査に着手している。昨年度に引き続き、平成10年度には宮崎県北諸方郡の1町約4500人の定期住民検診血清について、事前説明を充分に行ない住民の同意を得た上で、ブタ回虫抗原を用いたELISA法にてIgG抗体価測定を行った。 平成10年8月に千葉県幕張で開催された第9回国際寄生虫学会では米国農務省国際学術協力計画局長のDr.Murrellと共同でWorkshop(Ascarid nematode and VLM)を開催した。さらに平成10年10月にはコペンハーゲンにて開催された国際Workshop(Mysteries of Ascaris)への出席要請を受けたため、急邃、科研費の使途を変更して出席し、南九州におけるブタ回虫による幼虫移行症の現状を報告した。 平成10年1月〜12月に依頼を受けた寄生虫免疫血清診断の総数は約400件で、そのうち約300件が新規患者であった。これらの中から、30名が新たにブタ回虫による内臓幼虫移行症と診断された。血清診断ではこの他に15名の肺吸虫症が発見され、これもまた、この地域における重要な人畜共通寄生虫症であることが判明した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nawa,Y.: "Histopathological and Immunological Diagnosis for Parasitic Zoonoses" Host Response to International Parasitic Zoonoses. H.Ishikura (ed) Springer-Verlag Tokyo. 39-52 (1998)
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[Publications] 名和行文、石渡賢治、内山ふくみ: "宮崎県下における最近の寄生虫症の動向---うまいものはこわい---" 宮崎県医師会医学会誌. 1. 1-11 (1998)