1999 Fiscal Year Annual Research Report
新しい内臓幼虫移行症としてのブタ回虫人体感染の実態解明とその対策
Project/Area Number |
09470070
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Research Institution | Miyazaki Medical College |
Principal Investigator |
名和 行文 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (10040172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀井 洋一郎 宮崎大学, 農学部, 教授 (80173623)
野田 伸一 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60112439)
中村 ふくみ 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (90295204)
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Keywords | ブタ回虫 / 幼虫移行症 / 新興感染症 / 好酸球 / アレルギー |
Research Abstract |
近年南九州を中心として多発しているブタ回虫幼虫による内臓幼虫移行症(VLM)の実態解明のために、この地域の養豚地帯を中心として平成9年より度文部省科研費基盤研究(B)および平成9年度厚生科学研究費補助金(新興・再興感染症研究事業)奨励研究、大山財団研究助成金などを受けて、疫学調査を遂行している。平成11年度には科学技術庁花粉症研究班の班員となり、寄生虫感染とアレルギーの相関についても並行して調査を実施することとなった。平成10年度の宮崎県山田町に続き、平成11年度には鹿児島県松山町にて慈恵医大耳鼻科検診チームと共同で事前説明を充分に行ない住民の同意を得た上で、花粉症の耳鼻科検診を実施し、同時にELISA法にてブタ回虫に対するIgG/IgE抗体価測定を行った。さらに、比較検討の目的で、京都、奈良、和歌山で実施された花粉症耳鼻科検診の血清についてもブタ回虫に対するIgG/IgE抗体価測定を行った。その結果、九州の養豚地帯では住民の20-30%がブタ回虫に対する抗体保有者であるのに対し、近畿地方の住民では3-7%程度の陽性率であった。鹿児島、宮崎での検査の結果、ブタ回虫抗体保有者群ではその70%近くがダニやスギ花粉のいずれか、あるいは両方に対してIgE抗体陽性であるのに対し、ブタ回虫抗体陰性者群では、約30%がダニやスギ花粉に感作されており、両群で明らかな差が認められた。この結果は寄生虫感染がアレルギー疾患のリスクファクターとなることを示すものである。この成果により、研究代表者の名和は第47回小泉賞(日本寄生虫学会賞)を平成12年4月に受賞することになった。また、平成11年1〜12月に寄生虫免疫血清診断を受託した総数は約400件で、そのうち約280件が新規患者。そのうち、27名が新たにブタ回虫による内臓幼虫移行症と診断された。中枢神経系へ感染例が見つかったことが特筆される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Inatomi.,T.Murakami.,et al.: "Encephalopathy caused by visceral larva migrans due to Ascaris suum"Journal of the Neurological Sciences. 164. 195-199 (1999)
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[Publications] K.Hayashi.,H.Tahara.,ea al.: "Hepatic imaging studies on patients with visceral larva migrans due to probable Ascaris suum infection"Abdominal Imaging. 24. 465-469 (1999)
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[Publications] 名和行文: "ブタ回虫感染はスギ花粉症を促進する"臨床免疫. 33. 202-207 (2000)
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[Publications] 名和行文、内山ふくみ、石渡賢治: "寄生虫疾患とアレルギー疾患"現代医療. 31. 94-98 (1999)
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[Publications] 名和行文: "寄生虫疾患とアレルギーの合併"アレルギーの臨床. 19. 40-44 (1999)
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[Publications] 名和行文: "寄生虫とアレルギーの関係"臨床と薬物治療. 33. 1113 (1999)