細胞性感染防御免疫誘導にひっすな細胞内寄生性細菌の抗原外因子の同定とその機構

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09470075
• Research Institution: Niigata University
• Principal Investigator: 光山 正雄 新潟大学, 医学部, 教授 (10117260)
• Keywords: 細胞性免疫 / 細胞内寄生性細菌 / サイトカイン / リステリア / インターフェロン / マクロファージ / NK細胞

Research Abstract

マクロファージの細胞内殺菌をエスケープする細胞内寄生性細菌が、感染宿主に強い細胞性免疫応答を誘導する機構につき、とくにサイトカイン応答を惹起する抗原外因子を中心に解析した。リステエリアでは、LLO(58dDaタンパク)を最も重要な因子として特定することができ、この分泌性タンパクがまずマクロファージに作用して各種モノカイン産生を促し、とくにTNFα,IL-12,IL18が共同してNK細胞を活性化する結果、NK細胞からのIFN-γ産生が起こって各抗原特異的なTh1細胞の機能分化がおこり、免疫防御を担当するエフェクターT細胞が誘導されることを、in vitroおよびin vivo両者のモデルで各サイトカイン抗体を用いて明かにすることができた。BCGでは分子レベルでの特定には至っていないが、サイトカインレベルでは全く同様のメカニズムであることを明かにした。さらに生成LLOタンパクをリポソーム封入してマウスに投与すると、リステリア生菌免疫時と同様の宿主内因性サイトカイン発現を誘導でき、単独では免疫防御能誘導活性のない死菌や無毒株による免疫と併用することによって、強毒株生菌免疫に匹敵する感染防御免疫の誘導に成功した。現在このモデルでBCG死菌免疫による抗結核防御免疫誘導が可能となるか否かの実験にも取りかかっている。LLOのどの部分が内因性サイトカイン、とくにNK細胞からのIFN-γ誘導とTh1細胞の機能分化に関与するかについては結論が得られていないが、特殊な遺伝子断片を挿入したプライマーを応用した新しいPCR法で、LLOの異なったサイズのリコンビナントタンパク断片の構築と精製を行っている。予定した断片の作成が終了すれば、サイトカイン応答のみを誘導して毒性のないタンパクが見出され、またそれを利用したレセプター検索やシグナル伝達家庭の解析も実施できると考えられる。

Research Products

• [Publications] Jianfei Yang: "Requirement of the initial production of γ interferon in the generation of protective immunity against Listeria monocytogenes" Infection and Immunity. 65(1). 72-77 (1997)
• [Publications] Jianfei Yang: "Involvement of inflammatory cytokines and nitric oxide in the expression of nonspecific resistance to Listeria monocytogenes in mice induced by veable but not by killed Mycobacterium bois BCG." Microbial Pathogenesis. 22(2). 79-88 (1997)
• [Publications] Huabao Xiong: "Persistent production of IFN-γ and IL-12 is essential for the generation of protective immunity against Listeria monocytogenes." Clinical & Experimental Immunology. 108(3). 456-462 (1997)
• [Publications] Shinsuke Taki: "Multi-stage regulation of Th1-type immune response by the transcription factor IRF-1." Immunity. 6(6). 456-462 (1997)
• [Publications] Satoshi Ohya: "Killing mechanism of Sisteria monocytogenes in activated macrophages as determined by an improved assay system." Journal of Medical Microbiology. 46(2)(in press). (1998)
• [Publications] Jianfei Yang: "An essential role for the endogenous γ interferon in the generation of protective T cells against Mycobacterium bovis BCG." Immunology. 91(4). 529-535 (1997)
• [Publications] 米山正雄: "マクロファージと生体防御-新しい研究の展開-(分担)" 菜根出版(日本生体防御学会編), 205 (1997)
• [Publications] 米山正雄: "疾病とサイトカイン病因から治療への応用まで(分担)" 真興交易出版部, 271 (1997)