1997 Fiscal Year Annual Research Report
プリオン病におけるプリオン蛋白変換の分子機構解明と脳組織内変換の場の特定
Project/Area Number |
09470154
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
片峰 茂 長崎大学, 医学部, 教授 (40161062)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
調 漸 長崎大学, 医学部附属病院, 助手 (40264220)
重松 和人 長崎大学, 医学部, 助教授 (20154205)
坂口 末廣 長崎大学, 医学部, 助手 (60274635)
|
Keywords | プリオン / プリオン蛋白 / 遺伝子改変動物 / 神経細胞死 / プルキンエ細胞 / アストロサイト / 脱髄 / 軸索 |
Research Abstract |
(1)PCR法により増幅したマウスプリオン蛋白(PrP)遺伝子(コドン23〜231)が組み込まれたpET11aベクターを大腸菌(BL21)に導入した。IPTG処理により大腸菌は29-30kDのマウス、PrP(non-glycosylated)を発現した。現在、このリコンビナントPrPを用いた試験管内PrPC→PrPsc変換実験系の樹立を試みている。 (2)我々は以前、独自に樹立したプリオン蛋白(PrP)欠損マウスに加齢に伴い神経細胞(プルキンエ細胞)の脱落が惹起されることを見い出した。今回、自己プロモーターに支配された正常マウスPrP遺伝子を再導入したPrP欠損マウス(50週齢)の協調運動能をロータロッド試験により評価し、その後脳組織を摘出し組織学的検索をおこなった。コントロールPrP欠損マウス(Tg(N)PrP0/0)が例外なく協調運動障害と小脳プルキンエ細胞の脱落を呈したのに対して、正常マウスPrP遺伝子を再導入したPrP欠損マウス(Tg(N)PrP0/0)にはこのような異常全く検出できなかった。このことは再導入した正常マウスPrP遺伝子がPrP欠損マウスの表現型を回復したことを意味し、PrP欠損マウスにおける神経細胞死の一次要因が破壊PrP遺伝子であることが証明された。現在、神経細胞死に関わる細胞型を特定する目的で、ニューロン特異的(NSE)およびグリア特異的(GFAP)プロモーターに支配された正常PrP遺伝子のPrP欠損マウスへの導入をおこなっている。 (3)PrP欠損マウスのプルキンエ細胞の経時的形態観察により、初期病理変化が軸索に出現することを見い出した。免疫組織化学により正常神経細胞におけるPrPの発現が軸索で最も強いことを明らかにした知見と併せて、PrPが正常および神経終末において機能する可能性が強く示唆された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Katamine, S.: "Impaired motor coordination in mice lacking prion protein" Cell. Mol. Neurobiol.in press. (1998)
-
[Publications] Nishida, N.: "Prion protein is necessary for latent learning and long-term memory retention." Cell. Mol. Neurobiol.17. 537-545 (1997)
-
[Publications] 片峰 茂: "プリオン病の基礎" BIO Clinca. 12巻10号. 76-79 (1997)
-
[Publications] 西田 教行: "プリオン・ノックアウトマウス" Brain Medical. 9巻3号. 1997-1999 (1997)
-
[Publications] 中桶 了太: "プリオンとその遺伝子" 最新医学 「臨床遺伝子学'97-遺伝子診断:基礎から臨床へ-(上田国寛編)」. 52巻10月増刊号. 215-220 (1997)
-
[Publications] 坂口 末廣: "遺伝子操作マウスによりプリオン病の研究" 現代医療. 29巻12号. 87-91 (1997)