1998 Fiscal Year Annual Research Report
肺胞II型上皮細胞機能にもとづく摘出肺保存条件の検討
Project/Area Number |
09470274
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
近藤 丘 東北大学, 加齢医学研究所, 講師 (10195901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤村 重文 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (40006078)
松村 輔二 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (80281997)
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Keywords | 肺保存 / 肺胞水分クリアランス / 肺水腫 / 肺胞上皮機能 |
Research Abstract |
ラット肺保存実験モデルを用いて、これまで肺胞上皮のイオントランスポート機構が肺保存の過程で受ける変化を検討し、これが、保存時間と保存液の組成により影響を受けることを明らかにし、肺胞水分吸収能の観点から、当研究室で開発された細胞外液類似のEP4液が、今日欧米で広く臨床応用されている細胞内液類似のEuro-ColIins液(EC)よりも優れていることを示す成績を得た。さらに、その原因を肺胞上皮のイオントランスポートに重要なNa+/K+-AIPaseに着目して検討し、肺保存の過程における肺胞水分吸収能の低下が、Na+/K+-ATPaseの酵素活性の変化と密接に関連していることを明らかにした。 本年度の研究では、肺保存の過程における肺胞水分吸収能の低下を防止するための手段を模索するため、グルココルチコイドによる肺胞上皮のイオントランスポート機構の活性化の可能性についてラットのモデルにおいて検討した。その結果、デキサメタゾン0.2mg/kgを皮下投与すると72時間後にNa+/K+-ATPascの酵素活性が増加し、肺胞水分吸収が有意に増強されることを見いだした。さらに、肺胞内水分貯留による低酸素血症からの回復も有意に早いことも明らかとなった。以上の成績は、肺胞上皮のイオントランスポート機構をステロイドホルモンを用いて活性化できる可能性を示唆しており、肺保存時にステロイドを用いることの妥当性を明らかにしたといえる。現在は、ヒト胎児から成人までの発達過程における肺のグルココルチコイドレセプター、ミネラロコルチコイドレセプターKント、およびその制御に重要な1lb-hydroxysteroid dehydrogenase type 2の局在検討中である.。・
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 鈴木 聡 ほか: "肺水腫(肺静脈圧/浸透圧性)" Molecular Medicine. 35. 187-189 (1998)
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[Publications] 島田和佳 ほか: "臓器移植の今後の展望" 日本外科学会雑誌. 99. 759-764 (1998)
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[Publications] 岡田克典 ほか: "肺移植" 臨床麻酔. 22. 1729-1734 (1998)
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[Publications] Okada Y-et al.: "A stable prostacyclin analog,beraprost sodium,attenuates platelet accumulation and preservation-reperfusion injury of isograft in a rat model of lung transplantation." Transplantation. 66. 1132-1136 (1998)
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[Publications] 杉田 真 ほか: "肺保存の基礎的研究,特に肺保存がラット肺胞上皮細胞を会した水輸送に及ぼす影響に関する研究" 加齢医学研究所雑誌. 49. 83-101 (1998)
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[Publications] 岡田克典 ほか: "肺保存液と移植肺の機能評価" The LUNG perspectives. 6(2). 69-73 (1998)
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[Publications] 松村輔二 ほか(分担): "テキスト臓器移植" 日本評論社, 271 (1998)