1998 Fiscal Year Annual Research Report
歯の形成過程におけるTGF-βスーパーファミリー遺伝子カスケードの発現
Project/Area Number |
09470397
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
稲毛 稔彦 日本大学, 歯学部, 助教授 (90096769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑田 文幸 日本大学, 歯学部, 助教授 (60120440)
大井田 新一郎 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (10114745)
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Keywords | エナメル芽細胞 / 象牙芽細胞 / BMP / TGF-beta / mRNA / 免疫組織科学 / BMP receptor / TGF-beta receptor |
Research Abstract |
TGF-βおよびBMPはそのreceptorを介して上皮-間葉のsignal伝達物質として歯の硬組織形成を行う細胞の分化増殖に関して中心的な役割を果たしているものと考えられる。 TGF-βスーパーファミリー(TGF-β SF)遺伝子カスケードを検索する目的で,in situ hybridizationと免疫組織化学を用いてTGF-β SFとそのreceptorの検索を行った。材料には胎生期9から生後7日のDDYマウスの臼歯と切歯を用いた。 BMP-2はbud stage,cap stageでは象牙芽細胞を含む中胚葉性に,bell stageではエナメル芽細胞に強く見られた。BMP-4,-7およびMsx遺伝子では逆に,cap stageまではエナメル芽細胞に,bell stageでは中胚葉に強い局在が見られた。TGF-βはエナメル芽細胞および象牙芽細胞が分泌を行う時期に一致して強く発現した。またTGF-βおよびBMP receptorの局在と発現はそれぞれのligandが発現する時期に見られた。したがって,TGF-β SFは歯を形成する細胞の分化増殖および細胞外マトリックスの合成を制御しているものと考えられた。 成熟期エナメル芽細胞においては,smooth-endedエナメル芽細胞とruffle-endedエナメル芽細胞が交互に出現するameloblastic modulationが観察されるが,TGF-β SFに含まれるGDF遺とそのreceptorはこのmodulationが行われる時期のエナメル芽細胞と乳頭層に観察された。この様にTGF-β SFはエナメル芽細胞のmodulationにも深い関係を持つことも明らかになった。
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[Publications] 稲毛稔彦,桑田文幸,寺門正昭: "抜歯窩治癒過程におけるBMPの遺伝子発現" 歯科基礎医学会雑誌. 40. 42-45 (1998)
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[Publications] T.INAGE: "Gene Expression and Localization of BMP receptor During Amelogenesis" 第76回IADR総会. (1998)
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[Publications] 大井田新一郎: "PCR法によるBMPファミリー遺伝子のクローニング" 形態形成・分子メカニズムの研究の最新術. 45-55 (1998)
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[Publications] S.Oida, Y.Yamazaki: "Biological activity pf bone extract containing TGF-β superfamily proteins" J Hard Tissue Biol.7. 27-34 (1998)