1998 Fiscal Year Annual Research Report
細胞骨格、情報伝達系を介して、破骨細胞の骨吸収活性を制御する薬物の開発
Project/Area Number |
09470400
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大谷 啓一 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (10126211)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澄川 万紀 東京医科歯科大学, 歯学部, 教務職員 (10216492)
青木 和広 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (40272603)
|
Keywords | 破骨細胞 / pH / SNAFL-calcein / NA^+ / H^+交換体 / 骨吸収 |
Research Abstract |
骨吸収を行っている破骨細胞で機能すると考えられるプロトン輸送機構を検討する目的で、細胞内pH蛍光指示薬SNAFL-calcein AMを負荷し、共焦点レーザー走査顕微鏡にて細胞内pHの変化を経時的に測定した。新生児ラットの長管骨から調整した骨系細胞を、カバーガラスおよび骨片上に播種し、接着性の差を利用して破骨細胞を単離し培養した。高濃度のNH4^+を細胞外に適用すると、破骨細胞内は一時的にアルカリ化されるが、NH4^+を細胞外から除去するとプロトンが導入され、pHは急速に静止レベル以下に低下する。カバーガラス上に単離した破骨細胞においては、低下したpHはNa^+無添加培地では回復しないが、Na^+添加培地により静止レベルに回復する。Na^+添加培地にNa^+/H^+交換体阻害薬のアミロライドを添加すると、pHの回復は認められなくなった。この結果から、カバーガラス上に単離した破骨細胞には、Na^+/H^+交換体を介するプロトン輸送機構が存在することが示された。一方、骨片上に単離した破骨細胞においては、Na^+添加培地中では、ガラス上の破骨細胞と同様にpHは回復したが、Na^+無添加培地およびアミロライドを添加したNa^+添加培地では、ガラス上の破骨細胞と異なり、細胞内PHの回復を呈する細胞が認められた。この結果から、骨片上に単離した破骨細胞には、Na^+/H^+交換体を介さないプロトン輸送機構も存在することが示された。以上の結果から、破骨細胞が骨表面に接着すると、少なくとも2つの異なるプロトン輸送機構が発現し、骨吸収に関与することが示唆された。
|
-
[Publications] 柴田達也,大谷啓一: "ラット単離破骨細胞の細胞内pHの測定" 口腔病学会雑誌. 65巻1号. 131 (1998)
-
[Publications] T.SHIBATA and K.OHYA: "Intracellular pH Measurements in Isorated Rat Osteoclasts" Journal of Dental Research. Vol77 Special Issue B. 722 (1998)
-
[Publications] 柴田達也,大谷啓一: "acid loadingによるラット単離破骨細胞の細胞内pHの変化" 日本骨代謝学会雑誌. 16巻2号. 252 (1998)