1997 Fiscal Year Annual Research Report
神経障害とその修復過程におけるサイトカイン・神経保護因子の役割ーウィルスを用いた遺伝子導入による治療の試みー
Project/Area Number |
09480215
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
仙波 恵美子 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (00135691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 清光 静岡県立大学, 薬学部, 助手 (90189366)
森川 吉博 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (60230108)
上山 敬司 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (50264875)
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Keywords | アデノウィルス / 組み換えDNA / トランスフェクション / 293細胞 / 神経障害 / 神経栄養因子 / サイトカイン |
Research Abstract |
アデノウィルス(AdV)ベクターを用いた遺伝子導入法は、神経系など静止期の細胞への遺伝子導入に有効であり、従来、遺伝子導入が困難であるとされていた細胞、臓器への遺伝子治療技術の一つとして注目されている。東大医科研の斎藤教授らが開発したAdVベクターは、E1A、E1Bの2つの遺伝子を欠損させ、その欠損領域に組み込んだ外来プロモーターにより目的の遺伝子の転写を可能にしたものである。我々は、外来プロモーターとして最高の発現効率を示すCAGプロモーターと終止コドン及びrabbit β globin polyA部位を組み込んだコスミドカセット、pAdex1CAwtを用いて組換えAdVDNAの構築を行った。 我々がこれまでに構築したのは、末梢神経や中枢神経の生存維持や損傷修復に働くことが示唆されているBDNFとNT-3、これらの受容体であるTrkBとTrkC、神経系に作用するサイトカインのLIF、神経系の発生や分化に関与すると考えられているGDNFの各遺伝子を含む組換え体DNAである。まず、各遺伝子の最小発現単位の両末端を平滑化してベクターのSwaI部位に挿入し、正逆両方向のコスミドクローンを得た。各クローンについて、制限酵素による切断やsequencingにより構造確認を行った。次に、組換えAdV作製前にこれらの発現をin vivoで確認するため、不要なベクター領域を除去したプラスミドクローンを作製した。すなわち、SalIで切断、ligationすることによって、スペーサー内の部位からプロモーター直前までの発現単位を含む領域をクローン化した。今後、これらのプラスミドDNAを培養細胞にトランスフェクションし、その発現をmRNA、タンパク質のレベルで確認する予定である。発現確認後は、親ウィルスのDNA-末端タンパク質複合体を調製し、元の発現コスミドカセットと共に293細胞へトランスフェクションする。組換えウィルスの増殖がみられたら、そのDNAを調製して制限酵素切断による確認を行い、最終的な目的ウィルス株を得る。 以上の実験と平行して、LacZ遺伝子を発現するコスミドカセット、Adex1CALacZを用いて同様に組換えウィルスを作製し、in vivoでの遺伝子導入のための基礎実験を行う予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tokunaga,A. et al.: "5-HT2A receptor subtype is involved in the thermal hyperalgesic mechanism of serotonin in the periphery." Pain. (in press). (1998)
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[Publications] Kami,K. and Senba,E.: "Localization of leukemia inhibitory factor and interleukin-6 messenger ribonucleic acids in regenerating rat skeletal muscle." Muscle Nerve. 21(in press). (1998)
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[Publications] Doi-Saika,M et al.: "Intradermal 5-HT induces Fos expression in rat dorsal horn neurons not via 5-HT3 but via 5-HT2A receptors." Nuerosci. Res.29. 143-149 (1997)
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[Publications] Ueyama,T. et al.: "Immobilization stress reduced the expression of neurotrophins and their receptors in the rat brain." Neurosci. Res.28. 103-110 (1997)
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[Publications] Kashiba,H. et al.: "Relationship between BDNF-and trk-expressing neurons in rat dorsal root ganglion : an analysis by in situ hybridization." Neuroreport. 8. 1229-1234 (1997)
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[Publications] Kashiba,H. et al.: "Systemic capsaicin in the adult rat differentially affects gene expression for neuropeptides and neurotropnin receptors in primaly sensory neurons." Neuroscience. 76. 229-312 (1997)