1998 Fiscal Year Annual Research Report
イネ人工染色体を用いた多色FISH法によるイネ科穀類の染色体彩色とシンテニー解析
Project/Area Number |
09490024
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
向井 康比己 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (30110795)
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Keywords | イネ科ゲノム / イネの人工染色体 / 多色FISH法 / タルホコムギ / シンテニー解析 / 染色体彩色 / DNAファイバー / バクテリア人工染色体(BAC) |
Research Abstract |
1. イネの染色体別クローンを用いた多色FISH法によるイネ科ゲノムの染色体彩色 イネの人工染色体クローン(YAC、BAC)を染色体別にプールしてプローブとし、別のイネ科植物であるコムギおよびタルホコムギの染色体に対して、多色FISH法で染色体ペインティングの実験を行った。3種類の蛍光色素を組み合わせることにより、イネの12本の染色体由来のプローブを色ですべて区別するような標識-検出系のシステムの開発に成功した。しかし、他のイネ科植物に対しては、プールしたクローンの量が少なかったので、標識可能なシグナルを染色体上に得るには至らなかった。今後、クローン数をさらに増やすなどの工夫が必要と思われる。 2. タルホコムギの人工染色体クローンを用いたFISHによるシンテニー解析 タルホコムギのバクテリア人工染色体(BAC)ライブラリーからランダムに400クローン選び、タルホコムギおよび他のイネ科植物パンコムギ、オオムギ、ライムギ、イネ、トウモロコシの中期染色体に多色FISHを行い、染色体上のシグナルの位置からシンテニー解析を行った。タルホコムギのBACクローンは高度反復配列を含むので、明瞭なシグナルを示さない場合が多かったが、1クローンはタルホコムギ、パンコムギ、ライムギ、オオムギの動原体領域のみにシグナルを示し、他のイネ科では全くシグナルを示さなかった。このことは、動原体構造はムギ類では類似しているが、その他のイネ科ではかなり異なることが分かった。一方、5SrRNAや18S-26SrRNAを含むクローンは、イネ科ばかりか、マメ科(ピーナッツ)やコーヒーなどの双子葉植物のrDNAと非常に高いシンテニーを保っていることがFISH解析から明らかになった。 3. DNAファイバー上における人工染色体クローンを用いたFISH解析 コムギのDNAファイバーにタルホコムギ由来の人工染色体(BAC)クローンを位置付ける方法を開発した。2と3の研究成果は、6編の学術論文に発表された。
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[Publications] Yamamoto,M: "High-resolution mapping in wheat and rye by FISH on extended DNA fihers." Proc.9th Int.Wheat Genet.Symp.,Saskatoon. 1. 12-16 (1998)
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[Publications] Mukai,Y: "Physical mapping of genes controlling wheat grain quality by fluorescence in situ hybridzation." Proc.9th Int.Wheat Genet.Symp.,Saskatoon. 4. 218-221 (1998)
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[Publications] Raina,S.N.: "In situ hybridization identifies the diploid progenitor species of Coffea arabica(Rubiaceae)" Theoretical and Applied Genetics. 97・8. 1204-1208 (1998)
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[Publications] Raina,S.N.: "Genomic in situ hybridization in Arachis(Fabaceae)identifies the diploid wild progenitors of cultivated(A.hypogaea)and related wild(A.monticola)peanut species." Plant Systematics and Evolution. 214. 251-262 (1999)
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[Publications] 向井 康比己: "FISH法によるコムギの穀粒品質に関与する遺伝子のフィジカルマッピング" 育種学雑誌. 48・別2. 33 (1998)
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[Publications] Raina,S.N.: "Detection of a variable number of 18S-5.8S-26S and 5S ribosomal DNA loci by fluorescent in situ hybridization in diploid and tetraploid Arachis speies." Genome. 42(in press). (1999)