1998 Fiscal Year Annual Research Report
低分子有機酸類の分子レベル炭素同位体比の測定法の確立と応用
Project/Area Number |
09554030
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
奈良岡 浩 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (20198386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古宮 正利 通産省工業技術院地質調査所, 資源エネルギー地質部, 主任研究官
石渡 良志 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (90087106)
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Keywords | 低分子有機酸 / モノカルボン酸 / ジカルボン酸 / 石油鉱液 / 炭素同位体比 / GC / C / IRMS |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、低分子有機酸類(モノカルボン酸、ジカルボン酸)の分子レベル安定炭素同位体比をガスクロマトグラフ燃焼同位体比質量分析計(GC/C/IRMS)を用いて測定するための分析法の基礎的検討を行った。その結果、モノカルボン酸についてはデシルエステル化、ジカルボン酸に関してはジブチルエステル化が有効であることが確かめられた。 次に石油鉱液中の低分子モノカルボン酸の起源や生成メカニズムを明らかにする目的で、分子レベル炭素同位体比測定法を確立した。実際の試料としては秋田県北部の申川油田などから採取された石油鉱液を用い、酢酸(-60.8〜-23.4‰)、プロビオン酸(-51.3〜-27.9‰)、イソ酪酸(-57.6〜-51.8‰)、酪酸(-33.8〜-24.4‰)の炭素同位体比を得た。これら同位体比は原油の全有機炭素同位体比(約-22‰)よりも軽く、酢酸とプロピオン酸の間で同位体的に正の相関(r^2=0.94)がみられた。ケロジェンの含水熱分解実験から得られた酢酸(-47.0‰)とプロピオン酸(-46.9‰)の炭素同位体比は、分解前のケロジェンの全炭素同位体比よりも25‰軽く実際の石油鉱液中の酢酸とほぼ同様の値であり、同位体的な正の相関上にもプロットされた。これらの結果から本研究での石油鉱液中の酢酸とプロピオン酸はケロジェンの熱分解で生成したことが示唆された。また、酪酸は分子分布や炭素同位体比から酢酸やプロピオン酸とは異なった起源が示唆された。 これらの結果の一部を日本地球化学会1998年度年会で口頭発表を行った。
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