1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09554054
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小保方 潤一 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (50185667)
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Keywords | 高等植物 / 翻訳エンハンサー / 植物ベクター / 高発現 |
Research Abstract |
筆者らは、5′非翻訳領域に挿入されるとmRNAの転写や安定性には影響を与えずに翻訳効率のみを促進させる塩基配列、所謂″翻訳エンハンサー配列″を形質転換タバコの実験系で2種類見い出した.本研究では、この2種類の翻訳エンハンサーの作用機構を解明するとともに、これらの機能性配列を植物ベクターの作成に応用し、プロモーターの組織や器官に対する発現特異性には影響を与えずにコードされている蛋白質遺伝子の発現量のみを増大させる新しい技術の確立を目ざしている. 本年度の研究では、pdb型翻訳エンハンサー配列については、主としてパーティクルガンを用いたトランジェント発現系で解析を進めた.その結果、(1)psaDb遺伝子のリーダー配列は、ATG翻訳開始コドンの直前に挿入された場合でも、20塩基以上の上流に挿入された場合でも、ともに翻訳促進効果をもつこと。(2)PsaDb配列による翻訳促進効果は下流のATG翻訳開始コドンがKozakルール(A/G)XXATGGに従っているかどうかとは無関係に生じること。(3)psaDb配列が5′非翻訳領域に挿入されていても、Kozakルールに従った翻訳開始コドンはそうで無いものに比べて高い翻訳開始をひき起こすと考えられること。(4)psaDb遺伝子は二つの転写開始点をもち、その結果、長さの異なるふた通りのリーダーをもっているが、短い方のリーダーでは発現促進効果は認められないこと.等々が明らかになった。今後はこれらの知見を応用し、psaDbリーダー配列と理想的な翻訳開始コドン配列を組み合わせることによって、より高い翻訳効率をもった植物ベクター構築を試みたい。
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Research Products
(1 results)