1998 Fiscal Year Annual Research Report
環境汚染物質の除染工事設計概念マニュアルとその経済効果予測のソフトの開発-水俣湾水銀除染工事前後(連続21年間)の八代海現地調査研究を基にして
Project/Area Number |
09555171
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
工藤 章 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (00281113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤川 陽子 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (90178145)
松井 三郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (90092808)
菅原 正孝 大阪産業大学, 工学部, 教授 (60026119)
寺島 泰 京都大学, 工学研究科, 教授 (50019717)
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Keywords | 水銀 / 水俣湾 / 八代海 / 堆積物 |
Research Abstract |
平成10年度においては、水俣湾から10km圏内の3地点(st.1,4および6)において、堆積物コアを採取し、水俣湾への水銀流出開始(1932年)以来の、水俣湾から八代海への水銀流出の履歴について、検討を行った。 今年度の堆積物コアは、採取用具を改良して、昨年度よりさらに長いものを採取し、より以前の時期にさかのぼって、水俣湾から八代海への水銀の流出傾向を明らかにすることをめざした。堆積物の分析は、同位体希釈-誘導結合プラズマ・質量分析装置により実施し、定量誤差は、各種の堆積物標準試料の分析から高々2%以内であった。 今年度の堆積物コアより、前年度、明らかになった傾向(水俣湾からの水銀流出は、1980年代に実施された浚渫作業により促進されたものの、基本的には比較的緩慢である)が再確認されたが、より古い年代にも水俣湾からの水銀の流出が起こっていることが新たにわかった。堆積物中の放射性物質(大気中核実験由来の放射性降下物Cs-137)の分析結果より、この新たに見いだされた水銀流出の年代は、大気中核爆発の開始される1945年以前である可能性が高かった。 水俣湾におけるメチル水銀中毒の発生を促進した要因は、工場から水俣湾に放出された水銀が、周辺海域に迅速に拡散せずに、湾内にとどまったことであると考えられた。ただし、今回の調査で検討した、1945年以前の水銀の移行挙動については、さらに検討が必要であると考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kudo,A.,Fujikawa,Y.et al.: "Lessons from Minamata Mercury Pollution,Japan-After a continuous 22 years of observation." Water Sciences and Technology. 38. 187-193 (1998)
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[Publications] Kudo,A.and Turner,R.R.: "Mercury Contamination of Minamata Bay : Historical Overview and Progress Towards Recovery" Environmental Science (Springer-Verlagシリーズもの). (1998)
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[Publications] Fujikawa,Y.,Kudo A.et al.: "History of Mercury Migration from Minamata Bay to the Yatsushiro Sea-The beginning of the Migration,Effect of Reclamation and Recent Tendency" IAEA Conf.Marine Pollution. 印刷中. (1999)
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[Publications] Fujikawa,Y.,Kudo A.et al.: "Mercury Transport from Minamata Bay to the Surrounding Sea Area : Possible Ecological Impact" Comparative Evaluation of Environmental Toxicants. 259-260 (1998)