1998 Fiscal Year Annual Research Report
虚弱高齢者に対する心身機能活性化訓練の効果に関する介入研究
Project/Area Number |
09557034
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
辻 一郎 東北大学, 医学部, 助教授 (20171994)
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Keywords | 高齢者保健 / 運動訓練 / 無作為割り付け対照試験 / 最大酸素摂取量 / 筋力 / 体力 / 健康増進 / 疫学 |
Research Abstract |
60歳以上の仙台市民65名、平均年齢66.7±3.5(60〜81)歳に対して、平成10年3月にベースライン検査を実施し、無作為割り付けにより運動群32名と対照群33名に分けた。同年4月から9月まで介入を実施し、その直後に再検査を実施して効果を検討した。 効果の指標は、推定最大酸素摂取量(VO_2max;220-年齢でのHRmaxにおける値)であった。測定は自転車エルゴメーターにより、エンドポイントを85%HRmaxとして、2分毎に漸増的に負荷を増加し、12分で検査を終了した。このときの心拍数と酸素摂取量の関係からVO_2maxを推定した。 運動群に対して、1回2時間、週2〜3回の運動(ストレッチ、リズム体操、自転車エルゴメーターによる持久性訓練、セラバンドによる抵抗性訓練)を26週にわたって実施した。自転車は50〜60%HRmax(Karvonenの式により算出)で1回20〜25分、セラバンド訓練は20回を正確にできる負荷を目安に5種目(四肢の屈伸と体幹運動)を実施した。対照群に対して、月1〜2回の講話、ストレッチやゲーム(2時間程度)を実施した。 ベースライン時点で、性、年齢、BMI.VO_2maxに群間差はなかった。介入期間を通じて事故も脱落もなかった。介入後、運動群のVO_2maxでは15.5%の有意な増加を認めたが、対照群に有意な変化はなかった。運動群のVO_2maxは、ベースライン値の低い者ほど改善率が高かった。運動群の改善度と対照群の改善度との差で見ると、運動訓練によりVO_2maxは2.1ml/kg/分増加した。VO_2maxの加齢に伴う減少(1歳当り)は男性で0.42ml/kg/分、女性で0.39ml/kg/分と報告されているので、6ヶ月間の運動訓練で5歳相当、持久力が改善したことが示唆される。
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