1998 Fiscal Year Annual Research Report
性染色体DNAの刑事及び民事鑑定への応用に関する法医分子生物学的研究
Project/Area Number |
09557039
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石津 日出雄 岡山大学, 医学部, 教授 (70033157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮石 智 岡山大学, 医学部, 助教授 (90239343)
山本 雄二 岡山大学, 医学部, 講師 (30136379)
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Keywords | 遺伝的多型 / 性別判定 / 性染色体 / マイクロサテライト / Alu配列 / アメロゲニン遺伝子 / 個人識別 / 親子鑑定 |
Research Abstract |
本研究課題における本年度の研究成果を以下に要約した。 1. Y染色体特異Alu配列の検出に基づく性別判定 Y染色体特異Alu配列のPCR反応条件を確立し、検出感度を向上させ、毛髪の毛幹部2cm、手アカ、指紋、微少な組織切片等からの性別判定に成功した。 2. アメロゲニン遺伝子の検出に基づく性別判定 蛍光色素標識プライマーを用いた、高感度PCRによるアメロゲニン遺伝子検出法により、目下微量試料からの性別判定が可能であった。 3. Y染色体DYS19多型の検出 PCRによるDYS19多型の検出条件を確立し、日本人におけるDYS19型多型のアレル頻度を推定した。各アレルの出現頻度は、A=0.064,B=0.068,C=0.423,D=0.226,E=0.211,F=0.004,C-2=0.004(N=263)であった。こらのうちアレルC-2は、アレルBとアレルCの中間に泳動され、過去には内外ともに報告のないインターアレルであった。さらにこれらの各アレルの塩基配列を分析し、繰り返し回数を確認した。また、家族試料を用いて遺伝様式とともに、この多型の親子鑑定における有用性を確認し、さらに強姦被疑事件における加害者の推定にも応用して良好な成績を得た。 4. X染色体HPRT座STR多型の検出 PCRによるHPRT座STR多型の検出条件をほぼ確立し、日本人におけるHPRT座多型のアレル頻度を推定した。各アレルの出現頻度は、T1=0.105,T2=0.243,T3=0.396,T4=0.200,T5=0.057であった(男性例数=84、女性例数=63)。家族試料を用いてこのSTR多型の遺伝様式を確認し、この多型の親子鑑定における有用性を明らかにした。
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