1999 Fiscal Year Annual Research Report
熱感受性リポソームによる悪性脳腫瘍invading zoneの新しい治療
Project/Area Number |
09557115
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田中 隆一 新潟大学, 脳研究所, 教授 (30018816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 英明 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (70236305)
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Keywords | 悪性脳腫瘍 / 熱感受性リポソーム / 温熱療法 / invading zone / 化学療法 / drug delivery system |
Research Abstract |
1)われわれの施設で開発したアドリアマイシン(ADR)封入、相転位温度40℃の熱感受性リポゾーム(ADR-liposome)を用いて、ラット脳腫瘍モデルで、GroupA(freeADR)、GroupB(freeADR+加温)、GroupC(ADR-liposome)、GroupD(ADR-liposome+加温)の4治療群を設けた。freeADR、ADR-liposomeとも5mg/kgで静注し、RF温熱療法で腫瘍内温度を42℃以上とし、隣接した40℃から42℃の加温域を腫瘍浸潤域と想定してそれぞれのADR濃度を比較した。この実験のために小動物用体温保持装置と、治療後の脳標本の正確な摘出のためにブレインマトリックスが大変有効であった。その結果、GroupDの腫瘍内ADR濃度は6.2±1.3mg、腫瘍浸潤仮想域でも5.2±1.5mgと他群の4-10倍のADR濃度が得られた。更に40℃以下の部位では0.4±0.3mgと急激に低下し、腫瘍中心と腫瘍浸潤域にのみ高濃度のADRが集積できることが示された。 2)また、静注されたリポソームが肝臓、脾臓に自然に集積してしまう問題点の解消のためリポソームの脳内への動注法を企画した。幸い、ADR-liposomeは血中での凝集もなく、塞栓源ともならなかったため、動注法によってもリポソームは脳内に注入できることが判明した。しかしながら、動注法では、上記のGroupB(freeADR+加温)、GroupD(ADR-liposome+加温)間で、脳内加温域でのADR濃度に差が認められなかった。これは、リポソームからのADR放出速度の問題と考えられ、今後の検討が必要である。
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Research Products
(1 results)