1997 Fiscal Year Annual Research Report
アパタイト析出法による象牙質知覚過敏症治療の臨床応用への展開
Project/Area Number |
09557152
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
恵比須 繁之 大阪大学, 歯学部, 教授 (50116000)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅 俊行 徳島大学, 歯学部, 助手 (60243713)
石川 邦夫 岡山大学, 歯学部, 助教授 (90202952)
今里 聡 大阪大学, 歯学部, 助手 (80243244)
|
Keywords | 象牙質知覚過敏症 / アパタイト / ビ-グル犬 / 象牙細管 / リン酸カルシウム / 走査型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
象牙質知覚過敏症の治療法として、開口した象牙細管をアパタイトで封鎖するアパタイト析出法を考案し、in vitroで多面的に評価を行ってきた。しかし、ヒト口腔内においては象牙細管内液、飲食物、細菌等の影響が考えられる。そのためヒトと歯牙組織が類似したビ-グル犬を用いて、in vivoにてアパタイト析出法の象牙細管封鎖効果、安全性を検討した。全身麻酔下にてビ-グル犬の大臼歯頬側にV級窩洞を形成し、酸処理を行い、象牙細管を開口させ、人工的に知覚過敏症状を惹起させた。この後、アパタイト析出液(1M CaHPO_4・2H_2O+2M H_3PO_4)と後処理液(1M NaOH+0.1M NaF or 1M NaHCO_3+0.3M NaF)を綿球を用いて塗布した。処理直後および7日後に、中空円筒状ダイヤモンドポイントを用いて象牙質生検を行い、象牙質片を採取するとともに、周囲歯肉組織も採取した。象牙質生検試料を走査型電子顕微鏡で観察した結果、処理直後では開口した象牙細管は結晶性物質により完全に封鎖されており、割断面観察では、象牙質表面から約5μmの深さまで緊密に封鎖されていた。析出した結晶をX線マイクロアナライザーで分析した結果、Ca/P比はそれぞれ1.53および1.80であり、アパタイト様結晶であることがわかった。一方、7日後に採取した試料では、象牙細管は封鎖されている部位と結晶が脱離した開口象牙細管との混在した像が観察された。また、周囲歯肉組織をHE染色を行い観察した結果、1M NaOH+0.1M NaFを後処理液に用いた場合にはpHが高いため、処理直後には角化上皮が剥離し、上皮組織の粗造化が観察されたが、7日後には正常な組織像を呈していた。1M NaHCO_3+0.3M NaFの場合には異常所見は認められず、正常な組織像を呈しており、臨床応用においても軟組織為害性がないことが示唆された。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 川崎 有希子ら: "アパタイト析出法がエナメル質の結晶性および耐酸性におよぼす影響について" 日本歯科保存学雑誌. 40 春季特別号. 31 (1997)
-
[Publications] Suge T et al: "In vivo evaluation of apatite forming method for treatment of dentin hypersensitivity using beagle dogs" Transactions of the 13th symposium on apatite. 18-19 (1997)