1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09558061
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
栗下 裕明 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (50112298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧田 朋広 東京タングステン(株), 研究開発部, 研究員
湯〓 邦夫 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00302208)
平岡 裕 岡山理科大学, 理学部, 教授 (70228774)
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Keywords | タングステン / 遷移金属炭化物 / 脆性 / 低温脆化 / 再結晶脆化 / 照射脆化 / メカニカルアロイング / 分散粒子 |
Research Abstract |
昨年度に開発したタングステン(W)合金よりさらに低温靭性に優れ,また再結晶温度の高いW合金を開発するために,まず,遷移金属炭化物を効果的に活用するためのMA-HIP条件の確立を図った。その結果,WにおいてもMA中に遷移金属炭化物が分解,強制固溶し,その後のHIP処理時に分散粒子として析出することが判り,その性状と分散状態を広く制御することが可能となった。次に,遷移金属炭化物のTiCについてその最適添加量を調べた。TiC量が増加すると再結晶温度は高くなるが,母相の硬化によって残存気孔(1〜2%)の除去に必要な加工(鍛造と圧延)が困難になり,低温靭性を高めることができない。最適添加量は0.3wt%TiCであった。さらに,TiCに比べて母相の硬化が少ない遷移金属炭化物としてTaCとNbCに着目し,0.7Wt%TaCと0.5wt%NbCを含むW合金を試作した。これらの合金はTiC添加W合金よりも硬さが低く,加工が容易であったが,低温靭性(衝撃3点曲げ試験により測定)は改善されなかった。透過電子顕微鏡によって母相中に多数の微細析出物が観察され,それらはTaあるいはNbが固溶したW_2Cであることが判明した。したがって,W_2CはTiCのような(粒界強化による)延性改善効果をもたないことになるので,現在,W_2Cを析出させずに,TaCやNbCを分散させ得る条件を探索している。一方,昨年度に開発したTiC分散W合金(TiC濃度=0.2,0.5wt%)を500〜700℃で高速中性子を0.15dpa照射して,一部の合金については照射後の低温靭性を測定した。その結果,照射による脆化が観察され,また照射中にW_2Cが析出することが判明した。したがって,この場合も照射中のW_2Cの析出を抑制し,粒界強化の効果のある炭化物の析出を促進させる必要があり,その条件の把握に努めている。
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Research Products
(2 results)