1998 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ19世紀末絵画と明治期の洋画-原田直次郎と青木繁の場合-
Project/Area Number |
09610058
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
高阪 一治 鳥取大学, 教育学部, 教授 (50153466)
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Keywords | 近代日本絵画 / 近代日本美術 / 明治の洋画 / 青木繁 / ドイツ美術 / 世紀末絵画 / ヨーロッパの近代美術 / ハンス・フォン・マレー |
Research Abstract |
3カ年にわたる研究の2年度(10年度)実施計画の基本は、前年からの資料の分析を継承しつつ,これと平行して,当該作品の比較検討を行うことである。青木とマレーとの関係では,考えられる組み合わせは次の通りである。 青木繁 マレー (1) 海の幸,漁夫晩帰 → ナポリのフレスコ画(特に北,西壁),ベルリン所蔵の油彩下絵 (2) 光明皇后 → 求婚(中央図) (3) 日本武尊 → オレンジの樹の下の3人の若者,旗をもつ男 (4) 温泉 → ヘスペリデス(中央図) ここで問題になるのは,当然,両作品の造形的類似点である。つまり,画面構成,人物の配置,モティーフの類似性である。青木繁とマレーの作風の相違(例えば、形態把握における柔と剛及びこれから結果する画面の雰囲気の違い)や細部を別にすれば、(2)(3)(4)では、類似性は認められる。しかし両者の直接的関連づけとなれば、判断には慎重を要する。(1)については、フレスコ画以上に、油彩下絵に類似性が認められる。とりわけ、平行描写の中に、ひとりだけ、頭部を鑑賞者の方に向けている共通点が、興味深い。いずれにしても、青木繁がマレー(の図版)を眼にした可能性の検討が問題である。一方,原田に関していえば、滞在したミュンヘンで彼が眼にしたドイツの作品を当面の比較対象として検討中である。
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