1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610087
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
竹下 秀子 滋賀県立大学, 人間文化学部, 講師 (90179630)
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Keywords | チンパンジー / ボノボ / 道具使用 / 水すくい / 踏み台つくり / 模倣 |
Research Abstract |
今年度は.チンパンジー乳幼児を対象として.水すくいと踏み台つくりの2種の道具使用について.実験者のモデル提示が、対象児の行動にどの程度反映されるかを検討した。いずれの道具使用も.エンリッチメントされた環境で集団飼育されているオランダ・ア-ネム群のチンパンジーによって、2〜5歳に獲得されるものである。本研究の対象児は.母親の育児放棄によって人工哺育されている2歳児3頭(オス1、メス2)と1歳児2頭(メス2)とした。水すくいでは.タライの水をボウルですくいあげてそのままもとのタライに流し戻す動作をモデルとした。5頭のうち.2歳児メス1頭には.数回のモデル提示セッションののち.実験者の動作の要点を再現した行動がみられた。踏み台つくりについては現在も観察を継続中である。これまでに.実験者が高い所にあるターゲットの下に箱をひとつ置くところを対象児に見させた。その箱を踏み台にして.その上からジャップしてターゲットに到達する行動が前場の2歳児メス1頭に出現した。しかし.箱をターゲットの下に置くという行動は再現されず.ターゲットの下から直接ジャンプするという行動がモデル提示前よりも増加するという結果が得られた。水すくいと踏み台つくりについて.複数の物体の使用や操作のヴァリエーションをモデル提示することにより.模倣と道具使用の獲得との関連を今後.ボノボ乳幼児との比較において明らかにしていく。
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