1998 Fiscal Year Annual Research Report
社会的行動の機能アセスメントに基づくインクルージョン場面への行動分析的介入の検討
Project/Area Number |
09610101
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加藤 元繁 筑波大学, 心身障害学系, 助教授 (00114059)
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Keywords | 行動分析学 / 社会的スキル / 機能分析 / インクルージョン / 仲間モデリング |
Research Abstract |
特別な二ーズの異なる子どもたちの指導において、集団を構成する児童・生徒のそれぞれの標的となる行動の社会的妥当性を考慮した個別の目標を達成するためには、これまでの分断型行動的アプローチが無視してきた、その子どもにとっての他者や課題、すなわち社会という文脈での機能の分析が必須となる。 本研究において、今年度は昨年度からの課題である個別の指導計画(IEP)と集団介入案(GIP)のフォーマットの暫定的原案を作成し、さらにインクルージョン形態の小集団場面で他者刺激の過剰選択性を示す子どもたちに対して個別の指導場面を設定し、場面間多層ベースライン・デザインによる集団場面との比較と、課題の選択性(preference)の変数に関する機能分析を中心に検討をおこなった。 この結果、課題の選択性を考慮した文脈下において行動の始発性が高まることが観察され、機会利用型指導法に代表されるフリーオペラントの視点を集団指導にも適用することが必須であることが示唆された。 しかし、学校場面や家庭で特に回避学習の形態で教師や親といった大人との強い刺激性制御関係を確立してしまっている子どもの場合、仲間を機能的なモデルや相互作用の対象とするためのセラピストのフェイディングの方法については、必ずしも十分な研究の成果が得られなかった。本研究の最大の課題となるこの変数については、平成11年度に集中的に検討をおこなう予定である。
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