1997 Fiscal Year Annual Research Report
早産児の心理・生理的特徴とアタッチメント形成に関する研究
Project/Area Number |
09610155
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tsurumi Junior College |
Principal Investigator |
斎藤 晃 鶴見大学女子短期大学部, 保育科, 助教授 (10225691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 裕 東邦大学, 医学部, 教授 (90197369)
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Keywords | 早産児 / 気質 / ブラゼルトン新生児検査 / 心拍 / 母子相互交渉 / アタッチメント |
Research Abstract |
新生児心拍測定のための特注アンプとソフトの開発のために,平成9年度前半は満期産児の協力を得て基礎的なデータを収集し,後半にソフトが完成した。平成10年2月未現在,在胎35週で出生した早産児2名の協力を得ており,今後12ヵ月まで追跡調査を行う予定である。 生後3日目のブラゼルトン検査(以下,NBAS)の結果,満期産児と比較して早産児は明らかに筋緊張・運動成熟性が低く,興奮頂点・易刺激性等も低い。すなわち脆弱であり,啼泣性も低い。これは平均よりも1ヵ月早く出生したために,身体的成熟性が低い結果である。ただし生後4週目のNBASにおいては易刺激性が上昇する傾向を示している。これは外界刺激に対する反応性が上昇した訳であり,環境との相互交渉の準備が整い始めていることを意味している。 面接調査の結果,被験児の母親は両名とも生後2日目までに児を「人間」だと感じており,「母親の愛着」(maternal attachment)は早期愛着群(early attacher)と分類された。従って今後の発達過程において,早産である故の児の脆弱性は母性意識によって補われる可能性が強く,現時点においてはトマスとチェスのいう「適合性」の良い母児の組合わせだと考えられる。 :NBASの全ての項目を完了できる限界が在胎35週前後だと考えられているので,当初は被験児の在胎を35〜36週とした。しかし産科医療の急速な進歩のため在胎35〜36週で出生する児は減少しており,協力被験児数が本年度の目標に届かなかった。今後の2年間はNBASの一部項目を省略し,在胎32〜36週の早産児を対象として研究を行う予定である。
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