1999 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本社会における脱呪術化の程度と学歴・職種との関係について
Project/Area Number |
09610206
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
宇都宮 京子 東洋大学, 社会学部, 助教授 (90266990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲木 哲郎 東洋大学, 社会学部, 教授 (90011361)
竹内 郁郎 東洋大学, 社会学部, 教授 (10013038)
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Keywords | 合理化 / 科学性 / 脱呪術化 / 非合理性 / 伝統 / 慣習 / 学歴 / 超常現象 |
Research Abstract |
3年目にあたる本年度は、1、2年目で得た情報や調査結果を整理しつつ分析を行い、総合的見解と今後の課題とをまとめた。 昨年度は、1)宗教的伝統に基づいた行為、儀礼、儀式、2)民族学などの著書に記されている言い伝え等、3)真偽が疑われつつもマスコミなどで時々取り上げられる超常現象、4)いわゆる慣習に基づいた諸行為、5)意志決定に際して、示唆を得るための呪術的行為などの様々な項目について、学歴や職種や地域によって見解の相違が見られるかどうかを調査し、その対象地域は杉並区と荒川区とした。そして、調査結果の単純集計をとり、さらに、呪術的要素と説明変数(地域性・性別・年齢層・学歴・職種・危機体験の有無・科学観など)とのクロス集計をとった。 以上のような調査結果の検討を通してまず感じたことは、人々の生活の中には、伝統、慣習、宗教などさまざまな要因と結びついて、非合理的と思われる要素が多様なかたちをとって深く染み込んでいるということであった。また、年齢が高ければ高いほど、あるいは、学歴が低ければ低いほど、非合理的なことを容認しているというような結果は出ず、呪術的と分類した要素毎に異なった複雑な回答傾向が見られた。そして、科学的に説明されていなくても、社会的に通用している呪術的要素は多々あり、生活の中における「合理性」の意味をあらためて問う必要性を感じた。 同時に、今回の調査を通して、初めは外すつもりであった地域に根ざす文化的要素が意外と重要な意味をもっていることに気づいた。今回は、杉並区と荒川区という東京都の中の2区でしか調査をおこなえなかったため、地域差についての一般的な結論を出すことはできなかったが、今後、より広い地域で調査をおこない、地域にもとづく文化的要素と呪術的要素との関係の考察を進めていきたいと考えている。
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