1999 Fiscal Year Annual Research Report
家庭的保育制度の展開過程と育児支援における位置付けに関する研究
Project/Area Number |
09610217
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Research Institution | TENRI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
上村 康子 天理大学, 人間学部, 助教授 (50097888)
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Keywords | 家庭的保育制度 / 認可保育所 |
Research Abstract |
北海道、東北、関東地方の一部について、家庭的保育制度に関する資料収集を行うとともに、家庭的保育制度に関する1998年2月実施のアンケート調査のさらなる分析を行った。 ところで、厚生省が1999年4月7日に公表した「全国子育てマップ」で保育所入所待機児童の存在がクローズアップされ、その解消に向けて少子化対策臨時特例交付金が交付された。家庭的保育制度も交付対象事業となり、1950年に京都市が昼間里親制度として創設して以来はじめて国レベルの助成が受けられることになったものの、家庭的保育制度は認可保育所の拡充整備よりも安価で手軽な待機児童解消のための緊急・一時的制度としての位置付けに止まっている。なお、制度導入自治体においては、約8割が認可保育所の数的・低年齢児保育の補完のための制度として位置付け、認可保育所と並ぶ保育制度として位置付けている自治体は皆無である。 周知のように、家庭的保育制度と同様の保育形態はヨーロッパ諸国で普及しており、その位置付けについてEC保育ネットワーク・レポート『ヨーロッパのファミリーデイケア』でも考察を加え、質の高い保育を行うために保育所などの施設型保育とファミリーデイケアの両方の保育形態が提供されるべきとする。しかも、保育ニーズを充足するための安価な方法としてではなく、特性を有した貴重な選択肢としてファミリーデイケアを位置付けるべきとしている。 「保育に欠ける」子どもたちの保育に格差があってはならず、質の高い保育を行うために今後、認可保育所と家庭的保育制度をともに特性を持った貴重な選択肢として提供されることが必要であり、その意味からも家庭的保育制度の法的明記が必要と考えている。
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Research Products
(2 results)