2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610353
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Research Institution | NAGOYA UNIVERSITY OF ARTS |
Principal Investigator |
岸野 俊彦 名古屋芸術大学, 教養部, 教授 (80123355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 真樹 桜花学園大学, 人文学部, 教授 (60022381)
鈴木 重喜 正眼短期大学, 宗教科, 助教授 (40261101)
松田 憲治 名古屋芸術大学, 教養部, 助教授 (00123357)
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Keywords | 尾張藩 / 支配構造 / 総合化 / 所付代官所 / 豪農 / 林政改革 / 上方の尾敷 / 江戸での儀礼 |
Research Abstract |
本研究の課題は、広範な領域を支配した「尾張藩」の歴史的現実を、総合的に捉え、歴史の中で解明・復元することにある。当年度においては、これまでの研究で得た新たな知見と研究史の批判的継承を踏まえ研究成果の総括を試みた。そのため代表者・分担者の他にこれまで継続的に研究に協力を得てきた個々の協力者を軸に研究会を組織し、月1回のペースで報告討論を行い、その成果を『尾張藩社会の総合研究』(清文堂出版、2001年3月、460ページ)として刊行した。成果は、大きく以下の3点に集約できる。(1)尾張藩領のある尾張・美濃・木曽を中心とした農村部や山間部の生産と流通、農村・山村と各藩領を分割して地方の支配を担当した代官所と名古屋の勘定奉行所の関わりについて具体的に検討し、代官所設置の藩政史的意義の見直し、身分的特権付与の仲介・情報収集を媒介とした豪農層との密接な結び付き木曽谷支配における米穀の移入・流通の安定化が不可欠であることの意義、裏木曽における尾張藩林政改革等による山村民の生活の変容の具体的様相等を新たな知見として得ることができた。(2)江戸の尾張藩や上級家臣の家格意識と儀礼の関係。京・大坂・伏見の尾張藩屋敷の問題等、朝幕関係を含んだ儀礼家格の問題や全国的経済流通と尾張藩の関係について検討を加えた。具体的には尾張藩主の江戸在府時における将軍との御礼、縁戚大名との交流、上級家臣の官位叙任や将軍家への献上などの儀礼の詳細、現地に影響力のある豪農を尾張藩に吸収し、大坂天満屋敷奉行に任用することの意味、天保12年からの近江八幡支配の実態等につて、それぞれ詳細かつ具体的に解明した。(3)名古屋城下の医師や文芸・絵画の内容と、その存立が名古屋城下で自己完結するのではなく、尾張藩領・江戸・京都と関係しながら展開したことを、蘭方医の残した「記録」、刊行された狂歌集の分析、画派による画家の出自と支持層の異なりに着目しての分析を通して解明した。
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Research Products
(2 results)