1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610515
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
森 光昭 熊本大学, 法学部, 教授 (70019321)
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Keywords | 極右 / 極右主義 / ナチズム / 外国人問題 / 難民 / 排外主義 / ドイツ / 暴力 |
Research Abstract |
1. 極右犯罪の現状: この2年間、再び増加に転じており、1997年は11,720件で、前年に比べて大幅に増加している(1996年:8,730)。そのうち暴力犯罪は791件(前年:624)。すなわち、極右犯罪は前年比実に34%増、その暴力犯罪は27%増である。暴力犯罪以外の極右犯罪は、その大半が禁止された文書の配布とか、憲法に反する組織の記章を使用した犯罪である。ただ、政治の道具として暴力を考えている極右は少ない。現状では国民の支持がテロでは得られないことを知っているからである。 2. 極右主義はとりわけドイツ東部において顕著である。若者の間に相当浸透している。2月に起こったブランデンブルク州での外国人殺害事件は、今日の東部を象徴する事件であるとの見方もある。また、ザクセン・アンハルト州では、極右が1998年4月から州議会に進出しているが、これはこの州のイメージを傷つけ、海外の投資家の間に「極右に対する不安が」起こり、州はそれを打ち消すのに苦労している。 3. 極右に対する知識人・作家などの姿勢: 知識人の「ホロコーストの記念碑」問題に対する態度やドイツの過去に対する作家Walserの発言などには、かつてドイツ人には見られないような苛立ちが感じられる。これが何らかの前兆なのか、慎重に観察・分析する必要がある。 4. 全体的には昨年の選挙で分かるように、現在のドイツでは極右を拒否する姿勢が強い。しかし、分析には慎重さが必要。現在の「赤緑政権」が、前政権の施策をどの程度一新し、社会福祉などの新しい政策を打ち出せるか、失業問題をいかに解決できるか。これはドイツの今後を占う重要な材料である。
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