1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610527
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
福安 勝則 鳥取大学, 教育学部, 教授 (20173370)
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Keywords | アメリカ手話 / サイン・ランゲージ / アイコン性 / ASL |
Research Abstract |
本年度は、視覚言語であるアメリカ手話(ASL)の言語学的研究の初年度として、基礎資料の収集と研究の準備段階としてのデータの基礎的分析を実施した。語彙数はおおよそ1500語を分析の対象とし、手話の単語を「動き」の基本的要素へ分析し、分類を試みた。 基礎的準備段階の研究結果ではあるが、ASLの場合も、必ず動くもの(対象)をもち、「動くもの」を中心とした分析が可能であることが裏付けられた。手話の単語(サイン)はその表現形式が次のように分解可能である。(1)動きものの背景(無指定の場合も含む。)(2)対象の種類(形状等に下位区分される。)(3)対象の存在場所、空間((a)固定の場合[対象が或る位置に導入];(b)移動の場合[対象が或る位置に導入され、1)どこから2)どこへ)(4)対象の動きかた(様態)(方向、回数、鋭さ、同時性等も含む。)また、コンピュータを用いた手話のアニメーションによる語彙記述の予備的・実験的試みも実施した。さらに、所謂、形態素的な要素及びアイコン性(イコン、インデックス、シンボル)が単語の中に認められ、その試行的記述も行った。 本研究はアメリカ手話の統後、形態、意味部門等の基礎となる、辞書部門の記述が目的であるが、今後は、語彙数を増やすとともに(8000から10000語)、研究の中で明らかになってきている単語の形態素に相当する動きの要素の抽出を行い、分析に精度を加えていきたい。また、単語全体の分析から、ASLの個別的側面と普遍的側面に分け、とりわけ、身振り的ともいえるアイコン性の観点から、詳しい記述を完成させたい。この特性は手話学習者、特に、ネイティヴではなく健聴者がいわば「外国語」として手話を学習する際に有効である。さらに、ASLの語彙の分析と平行して、コンピュータ上でアニメーションの形での語彙の記述も行っていきたい。
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