1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09620008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
丸山 英二 神戸大学, 法学部, 教授 (10030636)
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Keywords | 臨床研究 / インフォームド・コンセント |
Research Abstract |
本年度は,わが国における臨床研究の実情を把握した上で,アメリカにおける臨床研究に対する規制を研究し,また,ヨーロッパ評議会のConvention on Human Rights and Biomedicine(1996)の検討に着手した。 1.わが国における臨床研究の実情に関しては,「乳がん術後補助療法研究」のプロトコル・説明文書の入手,同研究委員会委員長からの聞き取り,臨床腫瘍研究会など臨床研究をテーマにした研究会への出席,民事訴訟になっている事件の記録入手などを通して,その把握に努めた。また,新GCP関係の資料入手や研究者の反応の把握も行った。注目されたのは,新GCPの厳格な要件に対する当惑や臨床試験の空洞化を恐れる声であった。 2.アメリカにおける臨床研究に対する規制に関しては,(1)現在の規制体制(その多くがタスキジ-事件など過去の問題事例の発生に対処するためのものであった)に至るまでの経緯の把握,(2)現在の規制体制の把握に努めた。その概要を報告すると,連邦レベルの規制には,各省庁が実施・補助する研究に適用されるものと,新薬等の臨床試験に適用される食品医薬品局(FDA)による規制とがある。そのうち主導的であったのは,前者のうち厚生省による規制であり,今日ではそれに基づいて作られたCommon Ruleがすべての関係省庁によって採択されている。また,FDAの規制も,1970年代後半以降,可能な限り厚生省の規制ないしCommon Ruleに合わせるようになってきている。合衆国の規制の特徴は,(1)規制の実効性をを確保する手段として,研究施設に対して被験者を保護することを確約する書面の提出を求め,(2)現実に被験者の責任を担う機関として,施設内審査委員会(IRB)の設置を求め,(3)被験者保護の要として,インフォームド・コンセントの要件をおくこと,に求めることができる。
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Research Products
(2 results)