1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09620008
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
丸山 英二 神戸大学, 法学部, 教授 (10030636)
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Keywords | 臨床研究 / インフォームド・コンセント / 倫理委員会 / 被験者 |
Research Abstract |
本年度は,アメリカにおける臨床研究規制に関する研究を活字化するとともに,以下の内容の研究をした。 1. ヨーロッパ諸国については,イギリスを中心に研究した。そこでの規制は,医薬品開発に関しては,97年以降,米欧日が合意したICHGCPの適用を受ける。一般的な規制は,NHS管理局から出された「研究倫理委員会(Research Ethics Committees)」という標題のガイドラインに基づいている。規制の中心となるのは,地域の保健当局ごとに設置される研究倫理委員会で,これが,すべての医学的研究の審査に当たる。この審査は,NHSの職員の行う研究だけでなく,NHSの患者に関わる研究およびNHSの施設内で行われる研究も対象となる。なお,他の欧州諸国のうち,フランスでは,被験者保護の具体的要件を定める法律が1988年に制定されている。 2. 臨床研究による有害事象に対する補償に関しては,ヨーロッパ評議会の勧告(1990),イギリス王立内科医協会の勧告(1990)などは無過失責任を唱える。国際医科学機関協議会=CIOMSのガイドライン(1993)やイギリス製薬工業会のガイドライン(1990)は,治療に関わらない研究に限ってそのような補償を求める。他方,アメリカ厚生省の規則のように,過失責任からの免責を定めるインフォームド・コンセント文言を禁じるという手続的規制にとどめるところもある。わが国では,新薬治験については無過失責任の補償が用意されているようであるが,治療に関わる場合には,責任が限定される傾向にあるようである。 3. アメリカで97年秋以降議論が沸騰した,(抗ウイルス剤投与〔1人当り800ドルかかる〕のHIVウイルス母子感染防止への有効性の確認と,アフリカ諸国の財政状況・人工栄養の普及の低さに鑑みた)より短期少量投与の有効性を調べる研究がそれら諸国においてプラシボ対照で実施されたことの倫理性をめぐる問題を研究した。
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Research Products
(1 results)