1997 Fiscal Year Annual Research Report
保険請求権代位の比較法的研究に基づく被保険利益および損害概念の再構築
Project/Area Number |
09620041
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
岡田 豊基 神戸学院大学, 法学部, 教授 (20169113)
|
Keywords | 請求権代位 / 第三者の範囲 / 損害賠償請求権 |
Research Abstract |
助成確定後に提出した申請書には、平成9年度は請求権代位の法的性質を考察する予定であると記載した。しかし、請求権代位制度に関する検討を進めるにつれ、本制度に関する間題点の検討から始める必要性を想起するに至った。その理由は、次のようである。第1段階において、本制度に関する問題点を抽出・検討し、第2段階において、その検討結果を踏まえながら本制度を総合的に考察したうえで、その法的性質を検討する(帰納的考察)。第3段階において、本制度に関する問題点が、本制度の法的性質という指針に沿うものであるか否かあらためて検討すること(演繹的考察)が望ましいのではないかと考えたからである。ただ、申請者は本制度の法的性質に関してその大枠のイメージを描いているので、第1段階では、それを仮の指針として機能させることを考えている。このような方針に基づき、本年度は「請求権代位における第三者の範囲」と題する小稿を作成した。すなわち、第三者の行為で被保険者に損害が生じた場合、被保険者に保険金を支払った保険者は、この者が第三者に対して有する賠償請求権を代位取得する。本稿では、被保険者が賠償請求することのできる、つまり、保険者が代位取得した請求権を行使できる第三者の範囲を検討した。その場合、民法の損害賠償理論と関連させながら第三者の範囲を明らかにしていったところに、本稿の特徴があるものと考える。なお、現在、「請求権代位における被保険者の権利保全義務」と題する小稿を作成中であり、今後、請求権代位の量的範囲・質的範囲、傷害保険における請求権代位等に関する検討を予定している。
|
Research Products
(1 results)