1997 Fiscal Year Annual Research Report
公務における任用及び人事管理の弾力化と公務員法制の課題
Project/Area Number |
09620051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
清水 敏 早稲田大学, 社会科学部, 教授 (60136207)
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Keywords | 公務員 / 人事管理 / 業績主義 / 能力主義 |
Research Abstract |
「公務における任用及び人事管理の弾力化」は、おおむね、(1)採用及び昇格の弾力化、(2)処遇(主として給与制度)の弾力化、(3)職務遂行方法及び勤務場所の弾力化に分けることができる。本研究における本年度の主たる目標は、地方公共団体においてこの弾力化がどこまで進行しているかを調査することにあった。新聞報道等を手がかりにいくつかの地方公共団体を選択し、調査を実施した。 現時点までの調査で明らかになったのは、上記(1)に関連して採用における弾力化については、具体的に注目すべき措置はとられていないが、昇格については、従来の年功的運用を改め、「成果主義」もしくは「能力主義」的基準に基づき実施しようとする地方公共団体が目に付く。これは、日常の勤務成績等を昇格の基準とするものである。次に(2)の処遇については、前記の勤務成績等を給与(具体的には勤勉手当)に直接反映させる措置をとっているところは現時点においては皆無であったが、大阪府の高槻市においては、勤務成績を昇格のみならず勤勉手当の「額」に反映させるための条例が既に用意されていた。そして東京都においても同様に勤勉手当に反映させる準備がなされている。これらは、地方公共団体における人事管理の弾力化の象徴ともいうべき出来事であり、きわめて注目される。また、(3)の職遂行方法に関しては、昨年、国立試験研究所に勤務する招聘型任期付研究員について「裁量みなし勤務制」が導入されたところである。地方公共団体においては、まだこの制度は導入されていないが、勤務場所の弾力化については、岐阜県が未だ施行段階であるが、障害をもつ職員および妊産婦たる職員の在宅勤務を認めようとしている。以上のように、地方公共団体においても人事管理の弾力化の「兆し」が出てきていることについて、近々原稿化する予定である。
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