1998 Fiscal Year Annual Research Report
特定商業集積整備法等による「街づくり」と中小小売商業者の経済法的・法社会学的研究
Project/Area Number |
09620052
|
Research Institution | Kagoshima Keizai University |
Principal Investigator |
山本 晃正 鹿児島経済大学, 経済学部, 助教授 (10240110)
|
Keywords | 特定商業集積 / 大店法 / 商店街 / 地域商業活性化 / 高度商業集積 / ショッピングセンター / 大規模小売店舗立地法 / 中心市街地活性化法 |
Research Abstract |
大店法緩和以降、大型店の出店届出数は95年度2206店(1種528店、2種1678店)、96年度2269店(同523店、1746店)、97年度2116店(同528店、1588店)と依然として「出店攻勢」が続き、80年代初頭の5倍以上にも達している。他方、小売店舗は97年までの6年間で20万店近くも減少し、商店街衰退は深刻である。 こうした商店街の危機に対処すべく91年に登場したのが特定商業集積整備法である。98年11月19日現在、全国で地域商業活性化型38市町、中心市街地活性化型1市、高度商業集積型13市町が同法による基本計画を策定した。高度商業集積型全ての調査からは、同法が「巨大ショッピングセンター建設促進法」として機能した実態が浮かび上がる。このことは、93〜97年に全国で建設された店舗面積18,000m^2以上のショッピングセンター46店舗中10店舗、また店舗面積26,000m^2以上でかつ延床面積40,000m^2以上という超巨大規模のショッピングセンター21店舗中6店舗が、同法に基づく整備であったこと等を指摘するだけで十分であろう。 他方、地域商業活性化型23ヶ所の実地調査によれば、商店街活性化は不充分と言わざるを得ない。行政主導的性格が強く商業者の合意形成が不確かなケース、アーケード・カラー舗装などのハード整備のみに終わるケース、自治体の他の整備課題(例えば公園のフェンス整備等)のための便宜的な方便として利用されるケース等、「商業集積を核とした街づくり」という狙いとはかなりかけ離れている場合がほとんどと言える。 また98年5月の大規模小売店舗立地法と中心市街地活性化法の制定、都市計画法改正(流通街づくり三法)も問題が多い。立地法は出店原則自由の建前で需給調整的観点を否定していること、活性化法は中心商店街だけが対象で非常に限定的であること、都市計画法改正は特別用途地区指定の実効性に疑問があること等である。
|