1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09630002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
佐藤 壽博 福島大学, 経済学部, 助教授 (60170768)
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Keywords | 分配論 / 必要に応じた分配 |
Research Abstract |
最初に、各経済主体(消費者)について、その才能や身体的特徴(たとえば、身体障害の程度)を変数(以下、タレント変数)として導入し経済モデルについて、最近の先行研究についてサ-ヴェイを行い、その研究成果が初期段階にあることを再確認するとともに、本研究で対象とすべき経済モデルの基本的枠組みがほぼ見えてきた。 ついで、前段階での研究をふまえ、先行研究と同じタレント変数と所得(貨幣量)の2財から経済モデルに、タレント変数の交換関数(義手・義足などの身体補助技術に相当)を導入した経済モデルを構築した。その結果、以下の諸点を明らかにすることができた。 (1)医療補助機器(変換関数)についての技術改善・進歩は社会的効率可能フロンティア全体を外延的に拡張することができる。 (2)医療補助機器についての技術は、その使用によって恩恵を得ることのできる消費者全体に影響を与えるという意味で、外部効果を持つ。したがって技術についての社会的評価と技術改善のための社会費用とが一致する水準で生産を行うことが効率的となる。この効率的状態は市場メカニズムを通じては実現されない。とくに、市場メカニズムによる方法では、変換関数の価格は外部効果を考慮しない場合に比べ、高額となる。 さらに、変換関数の使用に関する補助のあり方について、「変換関数に対する需要の価格弾力性がかなり小さいこと」という仮定に立つとき、同額の財政支出をしながらも (3)受益者に対する補助金による方法では、医療補助機器の価格上昇を招き、補助金は価格上昇に吸収される、 (4)医療補助機器供給サイドに対する助成では、医療補助機器の価格が減少する、 という違いが現れることがわかった。
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